オーストラリア南東部を中心に森林火災が続き、被害が拡大していることを受け、オーストラリア聖公会のシドニー大主教グレン・デイビスが、緊急の祈りを呼び掛けている。
オーストラリア大手のテレビ局「セブン・ニュース」(英語)によると、一連の森林火災による被害は6日時点で、死者23人、家屋全焼1500棟以上に及び、焼失面積は600万ヘクタール以上と、九州と四国を合わせた面積よりも広がっている。
最も被害が大きいのは、首都キャンベラや同国最大の都市シドニーを抱えるニューサウスウェールズ州で、これまでに18人が死亡した。136件以上の森林火災が発生しており、焼失面積は約500万ヘクタールに及ぶ。次に被害が大きいのは、南に隣接するビクトリア州で2人が死亡。約30件の森林火災が発生しており、これまでに100万ヘクタール以上が焼失した。この他、南オーストラリア州でも火災により3人が死亡している。
AFP通信によると、森林火災への対応のため、現在、予備兵3千人が動員されているが、ニューサウスウェールズ州ではすでに変電所2カ所が焼失し、送電線への被害が出ているところもあり、輪番停電の可能性も出てきた。南東部では、人口密集地の大部分で非常事態宣言が出され、3州で10万人超に避難勧告が出されている。
こうした状況を受け、デイビス大主教は「干ばつと火災にあるオーストラリアのための祈り」(英語)を発表。「あなたの憐(あわ)れみによって、壊滅的な被害をもたらさないよう、自然の力を抑えてください。あなたの憐れみによって、人々の命をお守りください」と求め、特に消火活動や救助活動に当たっている人々の安全のために祈りをささげた。
オーストラリア聖公会の救援組織「アングリカン・エイド」はすでに、森林火災や干ばつの被災者支援のために30万オーストラリアドル(約2250万円)の寄付を集めており、さらなる協力を呼び掛けている。また1月19日には、シドニーのセントアンドリューズ大聖堂で、森林火災のための特別祈祷会を開催することも計画されている。