この身とこの心とは尽き果てましょう。しかし神はとこしえに私の心の岩、私の分の土地です。(詩篇73:26)
聖地旅行に行ったとき、どうしても訪れたかった場所の一つが死海のほとりにあるマサダ砦跡でした。今は観光名所になっていてロープウェイで頂上まで行くことができます。私が訪れたとき、イスラエルの若い兵士が軍事訓練をしていました。銃を抱えて急こう配を駆け上がっていました。
訓練中に申し訳なかったのですが、一人の兵士に思い切って話し掛けました。彼の話によると、この訓練は上官の命令ではなく、自主的に行っているものであるから、会話のために中断しても支障はないということでした。イスラエルの兵士にとってマサダは聖地であり、ここで訓練できることは誇りであり、喜びであるということでした。イスラエルの兵士はピンチになると「マサダ魂を忘れるな」が合言葉だそうです。
AD70年にエルサレム陥落しますが、一部のユダヤ人はマサダ砦に最後まで立て籠もり、ローマ帝国に抵抗を続けました。いよいよ陥落するというときは全員自害してユダヤの誇りを示し、ローマの兵士もそれに敬意を示したといわれます。
マサダ砦跡の頂上に行くと、ヘロデ王が造ったといわれる大きなサウナの跡がありました。私はこの荒れ地の砦で水をどうやって確保したのか疑問に思いました。ガイドさんに尋ねると、この地域では年1回大雨が降るのだそうです。その雨水を地下ダムに貯めていたということでした。そうすると、もう一つの疑問が出てきました。草木の生えていないこのような所で、どうやって燃料を確保したのだろうということです。燃料には人糞を用いていたから足りていたということです。砂漠地域の人々は、今でも動物の糞や人糞を燃料に用いているそうです。
ユダヤ人はエルサレム陥落後、世界各地でディアスポラになり、放浪を続け、時には中央アジアでノマドとして馬を操りながら、マサダ魂を受け継いでいったのではないかと思います。
3、4世紀に日本にやってきたユダヤ人の一団、秦氏は関東地方に移住しますが、中央アジアから馬を連れてきて、繁殖させます。その拠点の一つが群馬県だといわれます。県名の由来も秦氏の馬からきています。関東地方の古墳から出土するユダヤ人と思われる埴輪は腰に剣をつけています。
日本の文化や建築に大きな影響を与えた秦氏ですが、日本の武士の由来にも大きな影響を及ぼしたのではないかと思います。サムライの語源はヘブル語だと聞いたことがあります。
マサダ砦跡で私が勝手に感じていたのは、マサダ魂と大和魂と何かつながりがあるのではないかということです。侍の成り立ちとかを考えると、個人的な妄想ではないような気がします。
鎌倉時代に元と高麗の連合軍15万の兵士が2度にわたって押し寄せてきますが、2度とも上陸を許さず、水際で防いでいます。その時に台風がやってきて神風にやられたというような伝説になっていますが、例え台風が来なくても十分に勝利できる戦法と戦略があったといわれます。秦氏の子孫が中心になってその戦法を作ったともいわれます。
また、戦国時代の絵巻の中にダビデの星の家紋をつけた武将が登場しています。秦氏の家系は戦後武将の中にも入り込んでいると思っていいと思います。源氏も秦氏の家系ですし、島津家もその家系になります。島津家の家紋は丸に十字ですが、最初の家紋は十字そのままだったといわれます。
江戸時代に鎖国をしていますが、秦氏の思想は受け継がれているのではないかと思います。葛飾北斎の作風は遠近法を取り入れていて欧米人に衝撃を与えます。また数学者の関孝和は微分積分も解明し、当時の欧米よりも先を行っていたといわれます。しかもキリシタンだったのではないかという説まであります。
日本は300年の鎖国が終わって開国しましたが、30年で欧米に追いつきました。通常では考えられない速さで文明開化しましたが、根底には秦氏の技術と精神があったせいかもしれないと考えるのは行き過ぎでしょうか。
新渡戸稲造が武士道という本を英文で出版したとき、欧米の人々に非常に大きなインパクトがあったそうです。武士道の中にユダヤ教の精神とキリスト教の精神に通じるものがあったのではないかと思います。
マサダ魂に通じる大和魂を持つ日本の人々に必ずユダヤ精神は届くはずです。必ずやこの日本にキリストの福音が開花する時が来ます。
わたしは主によって大いに楽しみ、わたしのたましいも、わたしの神によって喜ぶ。主がわたしに、救いの衣を着せ、正義の外套をまとわせ、花婿のように栄冠をかぶらせ、花嫁のように宝玉で飾ってくたさるからだ。地が芽を出し、園が蒔かれた種を芽生えさせるように、神である主が義と賛美とを、すべての国の前に芽ばえさせるからだ。(イザヤ書61:10、11)
※古代日本とユダヤ人との関係に関する本コラムの内容は、あくまでも筆者の個人的な見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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