もしクリスチャンがうつ病になったら、どう対処したらいいのだろうか。心の苦悩を抱える多くのクリスチャンに寄り添い、教会関係者向けの講演活動も行うカナダの精神科医グラント・マレン氏を招き、10月5日から19日まで東京、札幌など全国5カ所で「ディスカバー・ジョイセミナー」(国際NGOオペレーション・ブレッシング・ジャパン主催、エリヤハウス・ジャパン協賛、イーグレープ後援)が開催された。講演でマレン氏は、「(うつ病などの)精神障害は霊的な症状が伴う唯一の医学的疾患」とした上で、「何が霊的な問題で、何が医学的な問題かということを理解することがとても大切。(身体的な症状には)医学的な治療が必要」と語った。
セミナーは、マレン氏の著書『Emotionally Free』が9月に『こころの解放』として邦訳出版されたのを機に実現した。マレン氏の日本での講演は今回が初めて。同書には、これまでマレン氏が講演会で語ってきたエッセンスが詰まっており、今回の講演も同書の内容に沿って行われた。
講演でマレン氏は、人の人格形成に影響を与える「記憶の袋」について解説した。この袋には、過去に経験した実際の出来事と、その出来事を自分がどのように解釈したかがためられているとし、「癒やされていない過去の傷や痛みがたくさんあるならば、それは私たちの人格に影響する。私たちの人格や人柄は、過去に起こった痛みを伴うような出来事や、それを通して信じた『偽り』によって出来上がってしまう」と語った。
人から喜びを奪う悪魔が最も好んですることは、この袋の中身を通して人を攻撃することだとし、「大切なことは、あなたの袋を十字架のもとに持っていくこと。イエス様は私たちの罪を取り除くために来てくださったが、この袋の中身をすべて取り除くためにも来てくださった。この袋を私たちが抱えている限り、神様が備えておられる喜びを体験することができない」と述べ、神との対話の通路である祈りの重要性を強調した。
うつ病などの気分障害や不安障害については、「自分の考えをコントロールすることができないという問題であり、それは神経細胞が正常に動いていないという問題」と解説し、同書で紹介している診断のためのチェックリストを使い、身体的な問題には早期に医学的な治療を受けることを勧めた。
精神障害の症状として、集中ができないために聖書を読むことや祈ることができなかったり、人との接触を避けるために礼拝に出られなかったりするため、特に教会では、身体的な問題を霊的な問題と間違って捉えてしまう傾向にあると指摘。「もしそれが医学的な問題であれば、聖書をどんなに読んでも解決しない。正しい治療を受ければ、ほとんどの場合良くなり、普通の生活を送ることができる」と強調した。
『こころの解放』(イーグレープ)は、全国のキリスト教書店のほか、アマゾンなどのネットショップで販売されている。また、ディスカバー・ジョイセミナーの内容は、12月中にDVDで発売される予定。詳細はオペレーション・ブレッシング・ジャパンの公式サイトで発表される。購入希望者には、メールやFAXでの案内も行っている。問い合わせは、オペレーション・ブレッシング・ジャパン(メール:[email protected]、FAX:022・774・1635)まで。