学校法人関西学院(兵庫県西宮市)は15日、カナダ在住の平和活動家、サーロー節子さん(87)に、関西学院大学の名誉博士号と関西学院賞を授与することを決めた。サーローさんは同学院出身ではないが、同大神学部出身で「ヒロシマ・ピース・センター」創設者の故・谷本清氏(日本基督教団広島流川教会牧師)から洗礼を受けており、その平和活動に大きな影響を受けた。また、夫のジム・サーロー氏が同大で宣教師として奉仕していた時期には、宣教師館(現オハラホール)に居住し、生徒らとの交流をはじめ、英語指導などに尽力した。
サーロー(旧姓・中村)さんは1932年、広島市生まれ。関西学院と同じメソジスト系の広島女学院に進み、学徒勤労動員中に広島市内で被爆した。広島女学院大学卒業後、54年に米国へ留学。その後、関西学院中学部で53~55年に英語教師をしていたジム氏と結婚。ジム氏が58~62年、宣教師として同大に再就任したときには、同大の宣教師館に共に住み、生徒たちの英語指導に当たった。
その後、ジム氏の故郷であるカナダ・トロントに移住。トロントYWCA、トロント市教育委員会で勤務した。75年、地元の日刊新聞「トロント・スター」に「核兵器の完全廃絶」を訴える意見広告を掲載し、平和活動家としての活動を本格的にスタート。2017年には、創立時から所属している「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)がノーベル平和賞を受賞。ICAN事務局長と共に授賞式に参加し、記念講演を行った。19年には、トロント大学から名誉博士号を授与されている。
関西学院は、「経歴・活動ならびに本学との緊密な関係等を振り返るにあたり、サーロー節子さんに関西学院大学名誉博士学位ならびに関西学院賞を授与することがふさわしいと考え、決定いたしました」と説明。来年5月に、同大西宮上ケ原キャンパスで授与式と講演会などを行う予定だという。詳細は来年4月に発表するとしている。
名誉博士号と共に授与される関西学院賞は、同学院創立125周年を記念して2014年に創設された。同学院のスクールモットー「Mastery for Service(奉仕のための練達)」を体現する世界市民として、社会に顕著な貢献をした人に贈られる。第1回は、同学院中学部卒業の故・日野原重明氏(聖路加国際病院名誉院長)に贈られている。