平和のために祈り、行動する8月6日から15日の「日本カトリック平和旬間」を前に、日本カトリック司教協議会の髙見三明会長が談話を発表した。髙見氏は、「(平和は)『すべての人の全人的な発展の実り』として生まれる」とし、「世界の平和と安全を築き確かなものとするためには、核兵器廃絶によって核の脅威を払拭するだけではなく、それと同時にすべての人があらゆる面でより豊かにされていく必要がある」と指摘した。
平和旬間は、1981年2月に当時の教皇ヨハネ・パウロ2世が広島を訪問し、「過去を振り返ることは、将来に対する責任を担うことである」とする平和メッセージを述べたことをきっかけに翌年から始まり、毎年この時期に持たれている。髙見氏は、今年11月を予定している教皇フランシスコの来日にも触れ、「新たな平和メッセージを世界に向けて発信してくださるものと期待しています」と記した。
髙見氏は、「教皇フランシスコは、就任以来、折に触れて平和と核兵器廃絶について発言してこられました」とし、教皇が2017年7月の「核兵器禁止条約」採択に先立ち、同年3月に国連総会に送ったメッセージを引用した。その中で教皇は、「国際平和と安定は、互いの破壊または全滅の脅威とか、単なる力の均衡の維持といった、誤った安心感の上に成り立ち得ません。平和は、正義、人間の全人的発展、基本的人権の尊重、被造物の保護、すべての人の社会生活への参加、諸国民間の信頼、平和を重んじる制度の促進、教育と福祉の恩恵に浴すること、対話と連帯の上に築かれなければなりません」と語っていた。
髙見氏は、教皇が願う「すべての人の全人的発展」について、「諸国民の間に経済格差や排除がないこと、社会が誰一人排除されず、誰もが参加できる開かれたものであること、人間の成長発展になくてはならない経済、文化、家庭生活、宗教などが保障されること、個人が自由であると同時に共同体の一員であること、一人一人に神が現存されることなどを意味します」と説明。「教皇と共に、核兵器廃絶の実現を求めつつ、すべての人の全人的発展に深く関わることによって平和をつくっていくことができるよう、平和の神に熱心に祈り、それぞれができることから始めるようにいたしましょう」と述べた。