昨年12月に出版された『聖書 聖書協会共同訳』(引照・注付き)が、第53回造本装幀(そうてい)コンクールで、日本書籍出版協会理事長賞(専門書部門)を受賞した。同コンクールは造本装幀に関する国内唯一の賞で、入賞作品は来年2月にドイツ・ライプツィヒで開催される「世界で最も美しい本コンクール」に出品されるほか、同10月には世界最大の書籍見本市「フランクフルト・ブックフェア」で展示される。
「聖書協会共同訳」は昨年12月、カトリック・プロテスタント共同の日本語訳聖書として、「新共同訳」以来31年ぶりに出版された。昨年出版されたのは、カトリック向けの旧約聖書続編付きと、プロテスタント向けの続編なしの2タイプ(いずれも中型版、引照・注付き)で、今回受賞したのは続編なし。
装幀を手掛けたイラストレーターの男性は受賞を受け、「うれしいです。これを通して、一人でも多くの人に聖書を手に取ってもらえればと思います。『世界で最も美しい本コンクール』が開催されるライプツィヒは、バッハゆかりの地でもあり、そこで日本の聖書が展示されることに意義深さを感じます」と語った。
発行元の日本聖書協会は、08年開催の第42回でも、「最も小さく、最も軽い聖書」として前年に発売したミニ版聖書『バイブルキューブ』(新共同訳、続編付き)で、同理事長賞(人文・社会科学書部門)を受賞している。
造本装幀コンクールは、「美しい本」作りへの意欲向上や読書推進などを目的に、日本書籍出版協会と日本印刷産業連合会が主催している。今年は268点の応募があり、20点が入賞。主要3賞には、『僕らのネクロマンシー』(NUMABOOKS、文部科学大臣賞)、『ちのかたち 建築的思考のプロトタイプとその応用』(TOTO出版、経済産業大臣賞・日本書籍出版協会理事長賞〔生活実用書他部門〕)、『Close Your Ears』(えほんやるすばんばんするかいしゃ、東京都知事賞)が選ばれた。
日本書籍出版協会理事長賞(児童書・絵本部門)では、福音館書店から昨年11月に出版された『Michi(みち)』が受賞した。同書は、白い「道」が縦横無尽に伸びる色鮮やかな「未知」なる町を、一人の少年と一人の少女が旅をする物語。しかし、詳しいストーリーは一切つづられておらず、読み手一人一人の想像に委ねる「字のない絵本」となっている。
表彰式は、9月10日に日比谷図書文化館(東京都千代田区)で行われる。また10月25~27日には、神保町ブックフェスティバルに合わせ、東京堂ホール(同)で入賞作品を含む全応募作品が公開展示される。
入賞作品は、11月12~14日にパシフィコ横浜(横浜市)で開催される第21回図書館総合展で展示され、同月下旬からは、印刷博物館(東京都文京区)で「世界で最も美しい本コンクール」の2019年入賞作品と共に展示される。また来年4月には、奈良図書館情報室でも展示される予定。