ナイジェリア北東部ボルノ州で、避難民に支援物資を届けるため車で移動していた牧師と信徒数人が、イスラム過激派組織「ボコ・ハラム」のメンバーとみられる集団に拉致される事件が発生した。
ナイジェリアの全国青少年奉仕隊(NYSC)でコーディネーターを務めるラビウ・アミヌ氏は6日、隊員のアブラハム・アムタさんと、リビング・フェイス教会の牧師や信徒たちが4月10日に拉致されたことを明らかにした。アムタさんも、同教会のメンバーだという。
ナイジェリアのニュースサイト「アレワ」(英語)によると、一行はボルノ州の州都マイドゥグリから、州南部のチボクに向かう途上で拉致された。チボクの避難民に支援物資を届ける目的だったが、武装集団が一行の乗った車を襲撃したという。
NYSCは、リビング・フェイス教会を訪問し拉致の事実を確認。警察当局は3日、アミヌ氏に事件に関して電話で連絡をし、全力を挙げて事件に対処すると約束したという。
アムタさんの同僚のサクセス・エゼアンヤさんはツイッターに、「彼(アムタ)は自分の教会の牧師と一緒に伝道に出掛けました。彼は一人息子です。忘れずに彼のことを祈りに覚えてください」と投稿した。
エゼアンヤさんが教会員からの情報として、ナイジェリアの英字日刊紙「パンチ」(英語)に話したところによると、ボコ・ハラムは身代金として2億ナイラ(約6千万円)を要求しているという。パンチ紙によると、今回の事件ではアムタさんの他、教会のメンバー3人が拉致された。
リビング・フェイス教会(旧ウィナーズ・チャペル)は、1983年にデイビッド・オイェデポ牧師によって設立されたナイジェリアのメガチャーチで、現在は65カ国に広がっている。
迫害監視団体「米国オープン・ドアーズ」は、キリスト教徒に対する迫害のひどい国をまとめた「ワールド・ウォッチ・リスト2019」(英語)で、ナイジェリアを迫害がひどい12番目の国に位置付けている。ボコ・ハラムが北東部とチャド湖周辺で支配力を持っていることが大きな原因となっている。
ナイジェリアのキリスト教NGO「市民の自由と法の支配国際協会」が今月初めに発表したところによると、すでに2019年に入って、ボコ・ハラムの戦闘員により200人余りが殺害されたという。
ボコ・ハラムはここ数年、ナイジェリアやニジェール、チャド、カメルーンなどでテロ活動を展開しており、殺害されたり拉致されたりした人は数千人に達している。
「世界テロ指数」(2018年版、英語)によると、ナイジェリアにおける17年のテロによる死者は62パーセントがボルノ州で発生している。