ローマ教皇フランシスコは3日夜、アラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビに到着した。歴代教皇でUAEを訪れるのは今回が初めてで、イスラム教発祥の地であるアラビア半島を訪問するのも今回が初。訪問は5日までの日程で、首都アブダビで開かれる諸宗教の集いなどに出席する。
今回の訪問は、UAEのアブダビ皇太子ムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン氏の招待に応じたもの。教皇フランシスコにとって27回目の海外司牧訪問(イタリアを除く)となる。
バチカン放送(英語版)によると、教皇がアブダビの空港に到着すると、ムハマンド皇太子らが出迎え、伝統衣装を着た子どもたちが花束を渡し、教皇の母国語であるスペイン語で歓迎の言葉を伝えた。
教皇は4日午後、UAE最大のイスラム教寺院「シェイク・ザイード・グランド・モスクム」で、諸宗教の集いを主催する「ムスリム長老会議」のメンバーらと会談。同日午後に集いに出席する。世界教会協議会(WCC)によると、この集いには、WCCのオラフ・フィクセ・トヴェイト総幹事のほか、イスラム教スンニ派最高学府のアズハル大学(エジプト)の大イマム(イスラム教指導者)であるアフマド・タイイブ氏らが出席する。
5日には、複合競技施設「ザイード・スポーツ・シティー」を会場にミサを執り行い、報道によると、約13万5千人が参加する見込み。
UAEは国民の多くがイスラム教スンニ派だが、フィリピンやインドからの出稼ぎ労働者の中にはキリスト教徒も多いという。米国務省の「信仰の自由に関する国際報告書」(2017年、英語)によると、UAEでは全国規模の国勢調査が2005年以降行われていないが、それによると、人口の76%がイスラム教徒、9%がキリスト教徒、15%がその他の宗教となっている。一方、米調査機関「ピュー研究所」の推定(10年)では、イスラム教徒が約76・9%、キリスト教徒が12・6%、ヒンズー教徒が6・6%、仏教徒が2%となっている。