イタリア北部ジェノバで14日、高速道路の高架橋が崩落し、43人の死者が出た事故で、現地の報道によると、犠牲者の中には牧師の妹もいたという。また事故を受け、イタリア福音同盟(AEI)は犠牲者のために救済基金を設置した。
地元紙「イルティレーノ」(イタリア語)などの報道によると、犠牲の1人ステラ・ボッチャさん(24)の兄、フランセスコ・ボッチャさんは、北西部ピサ県ポンテデーラにあるアッセンブリーズ・オブ・ゴッド教会の牧師。ステラさんは、ペルー出身の婚約者カルロス・ジーザス・エラスト・トルジーロさん(27)と共に、休暇から帰る途中に事故に遭い亡くなった。
ステラさんの葬儀は17日、アレッツォ県フォイアーノ・デッラ・キアーナにある教会で営まれた。牧師のフランセスコさんは同紙に「ステラは眠りに就きました。しかしこの地での人生の後に永遠の人生があります。母のために、また私のためにもお祈りください」と語った。ボッチャ家はもともと南部カンパニア州の出身だが、アレッツォ県に20年以上在住しており、ステラさんは同県内のスポーツショップで働いていたという。
18日には、犠牲者を悼む国葬がジェノバの展示貿易センターで、ジェノバ大司教のアンジェロ・バニャスコ枢機卿の司式により行われた。セルジョ・マッタレッラ大統領やジュゼッペ・コンテ首相らも参列したが、事故をめぐっては、政府の管理体制に不備があったとして、半数近くの遺族が参列を拒否した。
一方、フランセスコさんはステラさんの葬儀を個人葬で行ったことについて、政府を批判する意図はないと説明。家族で痛みを共有したかったためであり、また教派が違うことが理由だと述べた。
今回の事故では、高さ約50メートルの高架橋が約80メートルにわたって崩落し、橋の上を走行していた自動車など約35台が巻き込まれた。残った高架橋も崩れ落ちる危険性があるため、周辺住民約600人余りが避難。当局は周辺の建物も放置するのは危険だと判断し、建物を破壊することに決めた。AEIによると、避難対象の住民のうち少なくとも1世帯が福音派信者の世帯だという。
AEIは声明(英語)で「これらの主にある兄弟姉妹のために祈っています。主が慰めと、今と今後に必要なもの(住宅)を備えてくださいますように」とコメント。AEIを通じて集められた基金は、救援物資や霊的奉仕と共にジェノバの複数の教会に届けられるという。
AEIはまた、声明で次のように述べている。
「私たちの祈りはジェノバ市全体のためであり、その市民と家庭、また経済活動のためであり、政治当局がこの悲しみの時に、(高架橋の)崩落の原因を究明することです。このような惨劇の中にあるジェノバ市が『通常の』社会経済生活を取り戻せるよう祈っています。事故原因とその責任が究明されることは不可欠です。このような惨劇が二度と起こらないようにするために。
しかしそればかりではなく、この出来事が益とされ、私たちの罪の悔い改めと福音への信頼につながりますように(ルカ13:4~5)。信頼できる開かれた唯一の『道』であるイエス・キリストに、信頼できますように。その道(キリスト)は決して崩落することがなく、彼(キリスト)に信頼するすべての人を、間違いなく天の御父に導くからです(ヨハネ14:6)」