あなたは罪人ですよと言われて、教会に行くのをしばらくやめ、惨めさの中にもがいていました。牧師の話を聞き、人間は皆、罪人であることを知りました。最初の人間アダムが神に背いて以来、全人類は罪の中に生まれ、死ぬ存在となってしまいました。
キリスト教ではそれを「原罪」という言葉で表現します。なかなか日本人には理解しにくいといわれていますが、三浦綾子はその問題を『氷点』という作品で取り上げました。
人間の不幸の根本的問題が、この「原罪」といわれる罪なのです。神は人間を神にかたどって造られました。人間の持つ知恵も知識も才能も、想像力も創造力も、倫理的道徳的品性も、神に似せて造られた結果なのです。すべてのものは神が目的を持って造られます。この世に存在しているものは、すべてその存在理由を持っています。残念ながら人間だけがその存在理由を知らないで生きています。人間は神によって創造されたので、神の栄光のために存在しているのです。その存在の目的を喪失したのが、アダムの罪であり、全人類はその原罪の中に存在しているので、神の栄光を現すことができないでいるのです。
すべての人は、罪を犯したので、神からの栄誉を受けることができず、ただ、神の恵みにより、キリスト・イエスによる贖いのゆえに、価なしに義と認められるのです。(ローマ3:23〜24)
罪から来る報酬は死です。しかし、神の下さる賜物は、私たちの主キリスト・イエスにある永遠のいのちです。(ローマ6:23)
すべての真実な人々の叫びは、この原罪からの救いを求めているのです。種子島で生まれ育ち、道徳的な罪を何一つ知らない、快楽を何もむさぼらない少年でさえ、心の中でうめいていたのです。ダビデも告白しています。
神よ。御恵みによって、私に情けをかけ、あなたの豊かなあわれみによって、私のそむきの罪をぬぐい去ってください。どうか私の咎を、私から全く洗い去り、私の罪から、私をきよめてください。まことに、私は自分のそむきの罪を知っています。私の罪は、いつも私の目の前にあります。
私はあなたに、ただあなたに、罪を犯し、あなたの御目に悪であることを行ないました。それゆえ、あなたが宣告されるとき、あなたは正しく、さばかれるとき、あなたはきよくあられます。ああ、私は咎ある者として生まれ、罪ある者として母は私をみごもりました。ああ、あなたは心のうちの真実を喜ばれます。
それゆえ、私の心の奥に知恵を教えてください。ヒソプをもって私の罪を除いてきよめてください。そうすれば、私はきよくなりましょう。私を洗ってください。そうすれば、私は雪よりも白くなりましょう。私に、楽しみと喜びを、聞かせてください。そうすれば、あなたがお砕きになった骨が、喜ぶことでしょう。御顔を私の罪から隠し、私の咎をことごとく、ぬぐい去ってください。神よ。私にきよい心を造り、ゆるがない霊を私のうちに新しくしてください。(詩篇51:1〜10)
パウロも叫びました。
私には、自分のしていることがわかりません。私は自分がしたいと思うことをしているのではなく、自分が憎むことを行なっているからです。(ローマ7:15)
私は、ほんとうにみじめな人間です。だれがこの死の、からだから、私を救い出してくれるのでしょうか。(ローマ7:24)
罪を持っていて得することは何一つとしてありません。ある若い夫婦がレストランを経営していました。ラストオーダーの瞬間、立派な身なりの紳士が、彼らが一番得意なその店でも高価な料理を注文しました。2人は張り切りました。そして最後の客を最高にもてなし、話も弾みました。2人は紳士の教養や知識に感動し、どのようにしたら売り上げを増やせるかのアドバイスに耳を傾けました。心優しい2人は、その夜くだんの紳士を泊めてあげることにしました。翌朝目覚めてみると、紳士は出立した後でした。レジを開けてみると、売り上げが全部なくなっていました。
人間がどんなに教養があり知識があっても、業績を上げ成功しても、原罪を持つ限り、すべてを失う時が来るのです。罪があるから不幸なのです。親のせいや人のせいではありません。社会のせいでもなく、あなた自身の中に原罪があるからなのです。原罪を宿していると、すべてを失う日がやってきます。それは、罪の支払う報酬は死だからです。罪を持っていると、神の栄光を受けられないばかりか、永遠の地獄へ行かなければなりません。
そして、人間には、一度死ぬことと死後にさばきを受けることが定まっているように、キリストも、多くの人の罪を負うために一度、ご自身をささげられましたが、二度目は、罪を負うためではなく、彼を待ち望んでいる人々の救いのために来られるのです。(ヘブル9:27〜28)
(続く)
※ 本コラムは、小冊子「雪よりも白く」から転載・編集したものです。クリスチャントゥデイをご覧になり小冊子をご希望される方には、1人1冊を無料でプレゼントします。申し込みは、榮義之(メール:[email protected])まで。
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