大集会が振るわなくなってきている。かつては、ビリー・グラハムなどが、後楽園球場や日生球場などを会場にして、数万人規模の集会を開催していた。しかしその規模は時代を経るごとに減少しつつある。
人々のニーズが多様化しつつあることに加え、教会の高齢化がさらにこの傾向に拍車を掛けている。しかしこの緩やかな衰退傾向に歯止めを掛けるべく、「キリスト教界のアンチエイジング」的な集会が今年も6月7日から9日にかけて開催される。「ヒズコール・デスティニー・カンファレンス2018」がそれである。
このカンファレンスは3年前に始まったばかりだが、年を追うごとに「進化」と「深化」を感じることができる。昨年は、北海道から沖縄まで31の教会から300人以上が参加した。メインホールを用いての集会はもちろん、「リーダーシップ」「クリエイティブ」「開拓」「弟子づくり」など、多岐にわたる分科会も盛況であった。48人の未信者が参加し、23人がカンファレンス中にイエス・キリストを受け入れる決心をした、という報告も届いている。
今年は「DREAM COME TRUE 夢を成し遂げる」をテーマとして掲げた。各教会が神から与えられたビジョン、夢が実現する姿を共に描き出したいという思いが込められている。そんなユニークかつダイナミックなカンファレンスの魅力と日本宣教における意義を、これから紹介していきたいと思う。
まずカンファレンスの表看板に目を留めてみよう。特徴として挙げられるのは、世界有数のメガチャーチからゲストスピーカーを呼び続けていることである。
冒頭でも述べたように、大集会が減少しつつある。それに対して、細分化された中小規模の集会を数多く開催することでいいのではないか、という声もある。しかしキリスト教の歴史を振り返ってみると、マクロ(大集会)とミクロ(ニーズに特化した中小規模の集会)の組み合わせこそ、福音宣教の歴史を紡ぐ必要条件であることに気付かされる。
各々のニーズに応え、かゆいところに手が届くような分科会的なセミナーが活況になることはいいことだが、その一方で不特定多数の「大衆」に向き合うマクロの視点を決して忘れてはならないのだ。
そういった意味で、世界で活躍するメガチャーチの牧師たちを講師として招聘(しょうへい)するというやり方は、(ビリー・グラハムほどメジャーではないにせよ)キリスト教がダイナミズムを保持するためには、絶対必要なことである。本カンファレンスは、その要諦をきちんと押さえているといえよう。
また、カンファレンスが3年目を迎え、今年はこれまでにない新たな展開もある。初めて日本人牧師がゲストピーカーとして登場することである(ヒズコールチャーチ主任牧師の細江政人氏はホスト教会であるため別枠とする)。大和カルバリーチャペル主任牧師の大川従道氏だ。日本で千人以上の信徒を牧会する数少ない牧師の1人である。
もう1人のゲストスピーカーは海外から。オーストラリアのエンジョイチャーチ主任牧師であるシェイン・バクスター氏が、昨年に引き続き来日することになっている。エンジョイチャーチは今年4月から大阪で開拓を開始しており(関連記事:日本の救いのため オーストラリアのエンジョイチャーチ、大阪で教会開拓へ)、日本に対して大きな期待を寄せている教会の1つだ。50代半ばとは思えないパワフルな語りは、きっと参加者の心と霊を打つことになるだろう。
この人選から、このカンファレンスが単に「外国から恵みを頂く」ということにとどまらないことが分かる。ゲストスピーカー共通のキーワードは「日本」である。このカンファレンスが「メガチャーチ体験」や「準・大集会体験」ではないことが分かる。各地域教会が活性化し、各々の地で宣教の働きが活発に行われることを期していることは、カンファレンスに一貫して流れるテーマである。最終的に日本人の手による宣教が推し進められることを目指しているのである。
一方、ミクロの視点も忘れていない。本カンファレンスの「隠し味」は、ユニークな分科会にあるといっても過言ではない。しかも従来の枠を超えた具体的かつ実践的なカテゴリーが常に設定されている。そしてそこで語られるのは、実際にその働きに専念してきたヒズコールチャーチの牧師、スタッフたちである。
ゲストスピーカーを通して宣教の情熱を湧き立たせ、次に進むべき方向性を示されたとしたら、あとはこれを具体化する作業ということになる。ここで分科会が生かされる。「リーダーシップ」「弟子づくり」など、昔から繰り返し言われ続けてきたテーマがある。このような分野については、「古くて新しい」切り口で語られる。昨年、一昨年と分科会に参加したが、「分かりやすく、すぐに実行できる考え方」を具現化してくれたように感じた。
一方、「クリエイティブ」「開拓」というのは、あまり今まで特化して語られてこなかったテーマである。しかし、教会が真剣に福音宣教を考えるなら、常に新しい素材を求めるべきであるし、既存教会の成長と共に、あらたに「開拓教会」を形成することを目指すべきであろう。それらをいち早く実践し、その体験談や実例を示してくれるのだから、吸収したくなることは請け合いである。
マクロとミクロの視点を重ね合わせ、それを「日本」へ焦点化すること。これが本カンファレンスの特色であり、またカンファレンス自体が、その実践結果を目の当たりにする機会となるだろう。
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