日本宣教拡大を目的に、教会におられる宣教的な信仰者と、未信者や教会を離れた人々との接点を創出する働きを数年前から進めてきた。現在までに多くの企画を行い、依頼に応えながら、試行錯誤を繰り返してきたが、2018年の年初にあたり、これまでの経緯をまとめ、今後の方針を示すことにする。
そもそもこの働きは、老人ホームに出掛けて実施していた傾聴ボランティアの延長として開始したものである。質の高い傾聴ボランティアは大変重宝がられ、ニーズは至る所に存在する。大変良い働きであることには違いない。
しかし、株式会社としてボランティア活動を継続的、組織的に続けるのには限界があった。そこで私たちは、もっと依頼者と深く継続的に関わることを念頭に、話し相手・付き添いサービスと名付けた介護保険外サービスの働きを始めた。
また、高齢者のご家族との接点を得るため、冠婚葬祭の企画、サポート、および司式などに対応させていただく仕事を展開していった。当初は、話し相手・付き添いサービスの延長として、老人ホームを会場とした記念会や誕生日会をイメージしていたのだが、全国から葬儀の司式をお願いされることが多くなり、牧師を派遣する対応に追われることになっていった。
未信者からの葬儀司式依頼が突然寄せられた当初は、例外的な依頼かと思ったが、全国各地からの依頼が増えていく傾向にあり、全国の牧師先生との協力関係を構築しながら働きを広げていった。
このような依頼が多く寄せられる理由として、キリスト教葬儀を求める潜在的なニーズが日本では相当に高いことはいうまでもないが、単に「葬儀」だけでなく、避けられない「死」の現実に対して、何らかの解決を得ようとしている日本人の声にならない「渇き」を感じるようになった。
キリスト教の与えるイメージが「死」の暗いものではなく「いのち」や「希望」といった明るいものであることも、良い影響を与えているのだろう。
依頼をされるのは、かつて教会に通ったことのある人、讃美歌の好きな人、ミッションスクールに通った経験のある人、キリスト教式の結婚式を挙げた人など、状況はさまざまだが、等しくキリスト教に好感を抱いている人々だ。
彼らが、一般の葬儀セレモニー業者にキリスト教葬儀を依頼した際、牧師の手配ができないことが度々起こってしまう。葬儀の日程は火葬場の都合によって決まってしまうことが多く、依頼者は、短時間に司式牧師を探さなければならなくなる。
牧師に伝手(つて)のない依頼者は、インターネット検索を用いて当社を検索し、連絡を下さることになる。当社に緊急の牧師派遣要請の連絡が入るのは、通常このような経緯である。
これに対応するため、24時間対応で電話を持ち歩き、依頼が入り次第、全国の志のある牧師先生に緊急のお願いをさせていただき、キリスト教葬儀の司式対応の働きを続けてきた。
現在までに2年間で120件ほどの葬祭関連の司式に対応してきたが、この中で昨年は、幾つかの注目すべき案件に遭遇した。
まず、関東で頂いた2件の生前からの葬儀相談である。未信者からの依頼でありながら、この2件とも地域の牧師が訪問したその日に、洗礼の恵みにあずかることができた。いずれも召される数日前の出来事だった。私は電話を取り次いで祈っていただけであるが、神様は祈りに見事に応えられた。葬儀も素晴らしいものとなり、ご家族にも良い導きとなったようだ。
また、関西では、私自身が関わった数件において、葬儀の前後に長期にわたって寄り添う道が開かれ、ご本人、ご家族が導かれてきている例である。当社の話し相手・付き添いサービスを利用していただき、寄り添う人材を選びながら良い関係を継続させていただいている。
これらの状況から、キリスト教葬儀の司式対応の働きは、司式だけでなく、事前の相談、お見舞い、看取り、グリーフケア、記念会、などをトータルに含んだ長期にわたる継続的なサポート業務として整えていく必要を強く感じている。このような業務の仕組みを構築することが、今年の大きな課題になっている。
「死」という大きな障壁を前に、心を開こうとしている日本人に、神様が良い器を持ち運んでくださるように。私たちの働きを用いてくださり、地域教会や地域の牧師先生との良い関係が生まれますように。そして、多くの民が救われますように。2018年が祝福に満ちた年になることを期待して。
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