日本聖書協会主催のクリスマス礼拝が7日、日本基督教団富士見町教会(東京都千代田区)で行われ、260人が集った。続いて聖書事業功労者表彰式が行われ、カトリック大阪名誉大司教の池長潤氏が表彰された。
クリスマス礼拝では、オペラ歌手のありめせつこ氏による特別賛美「O Holy Night」「カッチーニのアヴェ・マリア」の後、同協会総主事の渡部信(わたべ・まこと)氏が「すべての人々に救いが到来した日」と題してクリスマスメッセージを語った。
「シメオンの賛歌」(ルカ2:29~35)は、幼子イエスを抱いた老人シメオンが「この子こそ、すべての人の救い主だ」と証しする恵みの賛歌。「万民のために」(31節)、「異邦人を照らす」(32節)とあるように、救いは、イスラエルの民やユダヤ人にだけ約束されたものではなく、全人類に与えられたと渡部氏は力強く語った。
「聖書には、真実の救い主が到来したことが記されています。『唯一の神の御子イエスを救い主として信じなさい。闇ではなく、光の世界に住みなさい』。このメッセージこそクリスマスのメッセージなのです」
さらに、シメオンが母マリアに語った言葉にも触れた。
「この子は、イスラエルの多くの人を倒したり立ち上がらせたりするためにと定められ、また、反対を受けるしるしとして定められています。――あなた自身も剣で心を刺し貫かれます。――多くの人の心にある思いがあらわにされるためです」(34~35節)
「罪人であるわれわれにとって、死はその代償です。しかし聖書には、1人の正しい人が死ぬことによって多くの罪人が救われると記されています。多くの罪人を救うためには、それなりの代償が必要なのです。シメオンは、この幼子がやがて無実の罪で目の前で殺され、それによって救いが成就すると、マリアに告げています。
このように、クリスマスに生まれた御子イエス・キリストは、神のもとから遣わされた贖(あがな)いの小羊です。すべての者の罪、すなわち偽善や傲慢(ごうまん)、憤りなど、もろもろの隠された罪がイエス・キリストの贖いによって清められ、一人一人が救われる。そうシメオンは言っているのです」
そして最後、「神は、その独り子をお与えになったほどに、世を愛された。独り子を信じる者が一人も滅びないで、永遠の命を得るためである」(ヨハネ3:16)という聖句を引用して、次のように締めくくった。
「クリスマスカラーである赤はキリストの血、緑は、枯れることのない常緑樹(もみの木)から『永遠の命』を表しています。私たちがまだ罪人であった時、イエス様が死んでくださったことで私たちに愛を示してくださいました。この素晴らしいプレゼントがクリスマスです。今日、永遠の命を心から感謝し、みなさんとクリスマスを祝いたいと思います。そして、この救いをまだ知らない方々にイエス様の愛を伝えていきましょう」
礼拝後には聖書事業功労者表彰式が行われた。毎年、聖書普及に貢献した人物や団体が表彰されるが、今年は、関西で超教派の活動に貢献してきた池長氏が選ばれた。「聖書が大好きでしょうがない」と話す池長氏は、ヨハネ福音書の研究を長年にわたって続け、「日々、その1章1節に重みを感じずにいられない」と言う。また、神戸バイブルハウスの理事長を14年務めたことについて、次のように語った。
「神戸バイブルハウスを立ち上げ、理事長にしていただいたことは大きな名誉でした。他のスタッフと一緒に、聖書をできる限り広めていきたいと、普及に努めてきました。その一環として、誰でも自由に参加できる聖書の講義を開いています。いつも30~50人の参加があり、これまで続けてこられたことは大きな恵みです。聖書は神様の語りかけの言葉ですから、個人で読んでも、『私にはこんな語りかけになっている』と分かりますが、基本的なところを先生方に解説していただくと、『こんなことが書かれていたのか』と改めて心が開かれると思っています。より多くの人が聖書を手にし、その意味を心に響かせてもらうことができたらと思っています」
横浜から参加した女性(60代)は、「どなたかを誘ってきたいと思っていたのですが、本当に友達を誘って来ることができました。とてもうれしいです。大きな礼拝堂でたくさんの方々と一緒にクリスマスのお祝いをできたことを心から感謝しています」と感想を語った。