世界最大の教会学校「メトロ・ワールド・チャイルド」(MWC)の創設者で主任牧師のビル・ウィルソン氏が10日、シリアの国境近くで銃撃された。一命は取り留めたが、銃撃による衝撃で負傷。MWCは、けがの回復のための祈りとともに寄付を呼び掛けている。
MWCのニューヨーク本部によると、シリアの今も紛争が続く地域で教会学校と医療支援の活動を行っていたウィルソン氏は、現地時間10日午後9時半ごろ、何者かによって背中を銃撃された。銃弾は防弾チョッキによって食い止められたが、その衝撃でろっ骨が折れ、肺の一部に穴が開くなどのけがをした。被弾後ただちにエルサレムの病院に運ばれ、その後さらに高度な治療を受けるためロンドンに移送された。MWCが18日に発表した時点で、ウィルソン氏はすでに退院しているという。
「私が守られたのは、神の御手と、皆さまの祈りによるものです。皆さまの祈りに大変感謝しています。しかし、クリスマスに向かう時期であり、子どもたちのことを放っておくことはできません。彼らは私たちを頼りにしているのです」とウィルソン氏は訴える。そのため、一部の集会はキャンセルしたものの、英国で予定していた講演ツアーを継続して行っている。
ウィルソン氏の働きに長く携わり、MWC日本事務所の代表を務めている万代栄嗣(えいじ)氏(松山福音センター主任牧師)によると、シリアへの出発前、ウィルソン氏からは祈りを要請する連絡があった。「本人も出発前に何かを感じていたのだと思います」と振り返る。また、負傷による血痰(けったん)が止まらない中でも働きを続けることには、「やはりビル先生はビル先生。体はぼろぼろになっても、彼らしい信仰がいつも息づいています」と話す。
12歳で母親に捨てられた経験を持つウィルソン氏は、自分と同じような境遇にいる子どもたちを救おうと、ニューヨークのスラム街で教会学校を始めた。その活動は米国内だけでなく世界で大きな反響を呼び、現在は世界各地にある教会学校に約20万人の子どもたちが通っている。その証しは著書『この子だれの子―ニューヨーク・スラム街からのメッセージ』(いのちのことば社)などに詳しい。
スラム街での活動はまさに命懸けで、2003年には路上生活者を訪問途中に強盗に襲われ、口に銃口を入れられ発射された経験もある。この時も頰を打ち抜かれる重傷を負ったが、一命は取り留め、治療を受けながらすぐに活動を再開した。
MWCは毎年、世界中にいる子どもたちにクリスマスプレゼントを贈るプロジェクト「オペレーション・ホリデー・ホープ」(OHH)を行っており、今は寄付集めのために非常に重要な時期。22回目となる今年は、教会学校に通う約20万人の子ども全員にプレゼントを贈る計画だ。このためウィルソン氏は例年、収録が長時間に及ぶテレビのクリスマス特番に複数出演している。しかし、今回のけがのために出演をキャンセルしたり、各国で予定している他の集会が中止になったりすれば、今年のOHHは危機的な状況になる。
MWCは、こうした状況を友人や同僚、教会関係者などに広く共有してもらうよう依頼しており、また祈りとともに寄付を呼び掛けている。OHHの支援は1口1万円から下記で受け付けている。
メトロ・ワールド・チャイルド・ジャパン(東京福音センター内)
電話:03・3561・0174、メール:[email protected]
郵便振替口座 記号番号:01650-3-4161