北朝鮮情勢をめぐる緊張が高まる中、韓国と米国のキリスト教教会協議会は、平和的対話を訴えるとともに、世界中で深刻な懸念を引き起こしている軍事行動に対する脅威を終わらせるよう求めている。
韓国キリスト教教会協議会(NCCK)は9月28日、記者会見を行い、朝鮮半島の平和のために国際社会に緊急の呼び掛けをした。
「平和は武力によって達成されることはできません」。NCCKは声明(英語)でそう訴え、「平和の支持者として、韓国の教会は1千万の信者と共に、朝鮮半島における2度目の戦争に強く反対し、それ故、状況を悪化させるいかなる軍事行動も容認しないでしょう」と語った。
現在の危機を平和的に解決するために、NCCKは世界各国の政府や教会、市民社会に対して訴えている。
米国に対しては、軍事的圧力や北朝鮮に対する制裁を直ちに停止し、平和的対話の雰囲気を作り出すべきだと要求。一方、北朝鮮に対しては、「核実験を中止し、韓国や米国を含む近隣諸国の対話要求に応じるべきだ」と強調している。
韓国には、「米国と北朝鮮を対話のテーブルに連れてゆくためのあらゆる努力を強化すべき」と求める。「私たちは韓国政府に対して、現在の緊張を解消し、平和の道を模索するために、直ちに特使を北朝鮮、米国、中国、ロシア、日本に派遣するように呼び掛けます」。韓国の政治指導者やメディア、国民には、戦争を誘発するような言葉を使うのをやめ、平和構築のために協力するよう要請した。
また、軍事境界線を越えて南北が砲撃し合った2015年の緊張についても触れ、「両国政府はその危機を平和的に対話で乗り越えました」と評価。「対話は戦争を回避する唯一の道なのです」と訴えた。
米国では、米国キリスト教教会協議会(NCCC−USA)が、「信仰の米国民からドナルド・トランプ大統領に送る公開書簡」(英語)を用意し、署名を集めている。書簡は、米国と北朝鮮の間の緊張の高まりに対して深刻な懸念を表明している。
「私たちは、金正恩(キム・ジョンウン)氏の不幸な言葉の選択と不注意な行動を認識しています。しかし平和のために、私たちはあなた(トランプ氏)に対して、公式のスピーチやツイートの中で好戦的な言葉を使ったり、悪口を言ったりすることをやめて、その代わりに自由主義世界にふさわしい指導者として、外交を追求するように呼び掛けます」
また、核戦争は決して起こしてはならないとし、「あなたは世界で最強の核保有超大国の指導者です。それ故に、あなたには高潔さ、分別、注意深さをもって行動する責任があります」と指摘。「私たちは金正恩氏を擁護しませんし、彼の政権が用いている危険に満ちたレトリックを許しませんが、同じように向こう見ずなあなたの言葉は何百万人もの人々の命を失う誤算につながる可能性があるのです」と述べている。
書簡はさらに、核戦争は世界全体を危険にさらし、根本的に不道徳だとしている。
「このような理由から、私たちはあなたに対して、より高貴な道を歩み、それによって沈黙を通して示される強さを表すように呼び掛けます。さらに、世界中に核が拡散している問題に対する恒久的な解決策を見いだすために、新しく、大胆で、包括的な外交要求を開始するように呼び掛けます」