キリスト教慈善団体のオープン・ドアーズが、ヨルダンの首都アンマンに衣料品店をオープンした。何と、店内にある古着はすべて無料。過激派組織「イスラム国」(IS)から逃れ、隣国のイラクやシリアから渡ってきた難民たちに対する支援の一環だ。難民たちは、母国の惨劇によりすべての物を失ってしまったが、他の店とは大きく違うこの古着ショップから大きな恩恵を受けている。
衣料品店で働くララさんは、「本当のブティックのように、彼らはここに買い物に来て、好みの服を選んだり、試着したりします。そして、尊厳を持って買い物をするのです」と話す。「この店は、彼らが買い物をしたり、楽しい時を過ごしたり、もう一度社会の普通の人たちのように感じることができる安全な場所なのです」
難民たちは、お金を払って服を買うのではなく、彼らの状況や家族の規模に基づいて無料で与えられたクーポン券と交換することで、「買い物」をする。
ヨルダンに避難した難民の多くは困窮しており、他の場所に移りたいと願っているという。しかし、手続きには数年かかる可能性がある。ヨルダンでは、難民は働く権利を認められていないため、衣料や他の生活必需品を購入するための収入源を欠いたままの状態にある。
ララさんは、「難民たちは、再定住できるようになるまでの間、食事をし、服を着、基本的な必要を配慮してもらう必要があります」と言う。
「人たちが難民に衣服を寄付するとき、しばしば大きなごみ袋に入った服を渡します。そうした服は洗われていないもので、染みがついていたり、破れていたりします。母国では良い家庭を持ち、良い状況にあった多くのイラク人難民にとって、それは恥ずべき状況なのです。彼らはそのような仕方で服を受け取るのは難しいと感じています」
「それこそ、このブティックが重要な理由なのです。このようにして、私たちは彼らの奪い取られた尊厳を回復するのを助けることができるのです」
衣料品店で扱うすべての服は、ヨルダンで寄付されたものだ。もちろん店内に置かれる前に、服はクリーニングされている。
オープン・ドアーズは、信仰を問わず、中東のすべての人が家、未来、発言権を確かに持てるようにするために、世界中の教会を1つにまとめる「中東の希望」という7年間のプロジェクトを行っている。現在署名を募っている請願書「100万人の希望の声」(英語)は、12月11日に国連に提出する予定だ。
オープン・ドアーズが各国のキリスト教に対する迫害状況をまとめた「ワールド・ウォッチ・リスト」によると、ヨルダンは今年、27位だった。中東諸国の中では長い間、信教の自由に関してより寛容な国だったが、その潮流が変わりつつあるという。
ワールド・ウォッチ・リストのヨルダンに関する記述(英語)によると、国外在住のキリスト教徒や、ヨルダン国内の歴史的なキリスト教社会は、イスラム教徒に伝道しない限り、比較的自由を認められている。しかし、イスラム教からの改宗者は、地方当局や非キリスト教徒の宗教指導者、さらには彼ら自身の家族から、深刻な抑圧を受ける。また、イスラム過激派の台頭とともに、シリアとイラクから逃れてきた多数のイスラム教徒の難民も、キリスト教徒に対する圧力を強めているという。