「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の世界遺産登録に向けて3日、県世界遺産学術会議(委員長:林一馬長崎総合科学大学長)の第3回目の会合が長崎市内で開かれた。事務局となる長崎県側が世界遺産登録に必要な国への提案書の素案を提示したが、内容について林委員長と意見が激しく対立。構成資産の選定や教会群などの価値をアピールする際に重点を置くポイントについて最後まで調整がつかず、次回会合に持ち越しとなった。長崎新聞が伝えた。
同紙によれば、長崎県は教会群などの価値を説明するにあたり、隠れキリシタンなどの歴史性に重点を置く必要があると主張したのに対し、林委員長は教会群の建築様式など構成資産自体の価値の説明にこそ重点を置くべきだと主張した。
また、当初20件だった構成資産について長崎県は、文化的景観などを新たに加えて35件とした。これに対し林委員長は、教会群と関係ないものを削除すべきだと主張。35件から減らす方向で意見は一致したが、どれを外すかは最後まで決まらなかった。
「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」が世界遺産に登録されれば、構成資産のある県内5市2町(当初選定の20件の場合)で年間客数は計51万人増、経済波及効果額は93億円に上るとの試算もある(ながさき地域政策研究所発表)。長崎県では2011年の世界遺産登録を目指しており、構成資産は今年度内にも確定させる方針だ。次回会合は12月を予定している。