Aと2人でX教祖Y氏の講演会に参加し、その教えに共感したAは、試合の巡業先に「Xアイテム」を携帯するようになりました。「観音カード」は、ラミネート加工してリングシューズの中に、「観音ペンダント」は、タイツの腰部分に小さなポケットを付けて入れ、試合に臨みました。
Y氏が波動を入れた「水と酒」(「御神水」「御神酒」と言われていた)は、アトマイザーに入れて、試合前のお清めに、自分の体と会場の至る場所に吹き掛けていました。ある会場では、「吹き掛けた途端、火花が散り、空気が変わった」とかで、Aは「すごい力だ!」と驚いていました。こういった現象を幾つも見ると、私たちは「Xの神様のお陰だ」と信じてしまいました。
Y氏はかねてより「結婚を考える相手ができたら、2人そろってまず、それぞれの父方、母方のお墓にお参りに行きなさい。ご先祖が賛成する相手なら、たとえ厳しい状況にあっても、霊の世界が協力してくださるから、どんどん順調に進む!」と言っていたので、私たちはお互いの先祖のお墓参りに、九州、四国と回りました。すると、帰京後すぐ、良い場所に新居が決まったのです。
その後、2人で食事に行った先のレストランで、同期の蝶野正洋さんご夫妻にバッタリ出会い、それがきっかけで、交際が一気に団体内に広まり、瞬く間に公認の仲となりました(^▽^;)。さらに、Aのタッグパートナーだった「飯塚孝之(現:飯塚高史)」選手の結婚披露宴に2人そろって出席したことで、プロレスマスコミにも周知となりました。
「まだ発表は控えておいてほしい」とお願いすると、各雑誌、新聞社共に誠実にかん口令を守ってくださいました。・・・1社を除いては(^_^;)。新聞社Tのスクープ報道によって、慌てた他社も記事を出さないわけにはいかなくなり、すべてのプロレス媒体で婚約報道が発表されることとなってしまいました。その時は一瞬戸惑いましたが、急激な進展に「これがお墓参り効果なのか!」とまたもや納得してしまいました。どこまでも「おめでたい」私でした。
そして、勢いづき再び墓参したら、今度は結婚式の日取りや式場、媒酌人などが次々と決まっていきました。「これらのことは、墓参効果以外にない!!」と、私の的外れな信仰は、さらに一段と的を外れていったのです。
そして、私たちは、ついに「X神」の前で「結婚の誓い」をしてしまうのです。その年は、歴史に残る自然災害、大犯罪が起こった年でした。(つづく)
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