世界教会協議会(WCC)のアグネス・アブオム中央委員会議長とオラフ・フィクセ・トヴェイト総幹事は8月23日、バチカン(ローマ教皇庁)で教皇フランシスと公式会見し、今日、世界が直面する諸問題に真の意味での正義をもたらす上で、クリスチャンの団結が不可欠であることを話し合った。この会見では、エキュメニカル運動における相互の関係強化にも焦点が当てられた。
「本日、教皇フランシスコと、実に建設的で実りある会談が持てることをとても感謝しています。私たちは、エキュメニカル運動の目的や目標が極めて重要になりつつある時代に生きています。そのような現実を鑑み、団結の追求を新たにする必要があります」。トヴェイト氏はこう述べ、「WCCは、さまざまな取り組みを通じて教会の団結に貢献しており、結果としてWCCがもたらす団結が、人類の団結に貢献しています」と語った。
また、「WCCの加盟教会とカトリック教会の中には、見解の一致と働きにおける協力を望む声があります。私たちが深く注意を払うべき人々がおり、彼らのために私たちは目標や人材を統合させる必要があります」とコメント。「私たち(WCCとカトリック教会)には、エキュメニカル運動(を推進する)という役割と、分裂してもろくなった世界で諸教会が抱えるニーズ(に応える)という共通の目的があります」と述べた。
アブオム氏は、「教会の団結と人類の団結は、相互に関連しています」と強調。「エキュメニカルな取り組みは、キリストの御体における共生の意味を、キリストの愛によって深く理解することなくして成功しません。私たちは共に労し、共に歩み、共に祈っているのです」と語った。
また、「多くの対立の表面化、貧富の格差の拡大、過激派と暴力、地球の未来への不安、家庭や子どもたちへの無責任な態度などが、私たちの団結を絶えず要求しています」と続けた。
世界の紛争解決における宗教指導者の役割の重要性を強調するとともに、アブオムとトヴェイトの両氏は、WCCが2013年に定めたテーマ「正義と平和の巡礼」における主な懸念材料となっている気候変動と経済的公平性の問題についても話した。
トヴェイト氏は教皇に、「人類の未来は脅かされています。貧困層の人々はすでに絶望感を抱いています。思いと心と価値観を真に変革するため、私たちに賛同してくださるよう教皇とカトリック教会にお願い致します」と求めた。
会談中、団結と平和と和解に向けて共に祈る場面もあり、来年再び会談できることを互いに願い、公式会見は終了した。
WCC代表団のローマ訪問は、8月23日から24日にかけて行われた。教皇庁キリスト教一致推進評議会が主催したもので、カトリック教会とWCCの共同作業部会について協議するため、同評議会議長のクルト・コッホ枢機卿を迎えての特別会談も行われた。
コッホ氏との会談では、トヴェイト氏は、過去10年間のエキュメニカル対談の成果の記録を要約したWCCの文書「合意の進展IV:国際対話記録と合意文書、2004年~14年」を手渡した。
WCC代表団はまた、教皇庁正義と平和評議会のフラミニア・ジョバネッリ次官とも会談した。会談では、公平な温暖化対策や国連気候変動枠組条約第23回締約国会議(COP23)の内容、核兵器、12月に開催予定の移民と排外主義に関する協議、平和構築に向けた取り組みなどが主な焦点となった。
この他、アブオムとトヴェイトの両氏は23日、国際的な社会貢献活動に取り組むカトリックの信徒団体「聖エジディオ共同体」も訪れた。
トヴェイト氏は、「私たちはローマで、難民として地中海での危険な旅を経てイタリアに来た4人の若者に会いました。2人はキリスト教徒で、2人はイスラム教徒でした」とコメント。「彼らは聖エジディオ共同体のプログラムでイタリア語を学び、ボランティア活動に携わり、今は仕事に就いています」と語った。
一方、自身が抱いている懸念と絡めて、「今日、欧州にいる多くの人は、彼らのような若者たちを問題の元凶として見ています。つまり、危険要素と見なしているのです。(しかし)彼らは4人の人間です。仕事をして欧州に貢献している健康で素晴らしい4人の若者なのです」と語った。