米南部テキサス州ヒューストンで、大型ハリケーン「ハービー」による洪水被害に遭ったケンタッキー州出身の牧師が、「衝撃的な」洪水に街が覆われていると、現地の様子を語った。同州ではこれまでに28人が死亡、1万人近い人々が救助され、ヒューストンは街の約3分の1が浸水被害に遭った。同州では記録的な豪雨が続いており、29日には米本土に上陸したハリケーンとしては観測史上最多の雨量を記録した。
第一バプテスト教会(ケンタッキー州ハザード)のダリル・コネット牧師は、妻の手術のために訪れていたヒューストンでハービーの被害に遭った。気象情報サイト「WYMT」(英語)に27日、「すごいどしゃ降りで、今も情け容赦なく雨が降り注いでいます」とコメント。「想像してみてください。ひたすら雨、雨、雨の状態で、雨水の行き場がありません」と語った。
妻のシンディーさんは、ハービーがテキサス州に上陸した25日に、テキサス州立大学MDアンダーソンがんセンターで腫瘍を切除する手術を受けた。2人はその後、帰宅する予定だったが、洪水のため帰りの便を数回にわたりキャンセルしなければならなかった。
「私たちはここで立ち往生している状態です。ハービーによる雨とヒューストンを襲っている洪水が過ぎ去るのを待つしかありません」。滞在先のホテルの2階は安全で、備え付けの小さなキッチンで料理もできたが、地元の人たちはハービーによる被害で困り果てているという。
「現地の人たちは、見たこともない衝撃的な洪水だと話しており、一部の人は、生まれてこのかたこのような洪水を見たことがないと話しています」
ハービーは、ハリケーンの強さで5段階のうち2番目に強いカテゴリー4の勢力でテキサス州に上陸した。
世界に天気予報を配信している米アキュウェザー社のブレット・アンダーソン上級気象予報士は米USAトゥデイ紙(英語)に対し、「問題なのは、巨大な帯状の雨が同じ地域に繰り返し降り続いていることです」と、ヒューストン周辺を移動するハービーについて説明した。
気象分析を手掛ける米ウェザーベル社のライアン・マヌー氏が米CNN(英語)に語ったところによると、ハービーによる雨量はすでにテキサス州内で11兆ガロン(約41兆6400億リットル)に及び、雨は少なくとも今週末まで続き、今後も2倍近くの雨量が見込まれている。
現段階ではハービーによる正確な被害は予測できないが、連邦当局は約3万人の避難者を見込んでおり、45万人が何らかの災害救助を求めると予想している。
米連邦緊急事態管理庁(FEMA)のブロック・ロング長官は、「これはテキサス州にとって未曽有の出来事です」と米CNN(英語)に語った。
コネット牧師は、ヒューストンのための祈りを求めるとともに、南部バプテスト連盟(SBC)の救援団体「南部バプテスト災害救助」(SBDR)が「効果的な活動」を行っているとし、SBDRへの協力を呼び掛けた。
「ホテルには十分な食糧もあり、水濡れもなく安全です。私たちは水が引くまでここで立ち往生している状態です。(中略)私たちはヒューストンの人々の無事を祈っています。洪水は深刻ですが、もう2、3日続くかもしれません。ヒューストンのためにお祈りください」
「多くの皆さんは、ヒューストンやテキサス州の他の被災地域の人々を助けるために、自分に何ができるだろうかと戸惑うかもしれません。最善の手段は、被災地にアクセスでき、効果的な救援活動を行う組織に寄付をすることです」
「SBDRへの支援は最善策の1つです。彼らは地元の人々に食糧を与え、助言し、福音を伝え、家屋の清掃を助けるためにいち早く駆け付けます。彼らは救援活動を手際よく行っています。駆け付けてくるのは、南部バプテストの諸教会で訓練を受けたボランティアたちです。恐らく、ここケンタッキーからも何人か行くでしょう。(中略)皆さんはヒューストンに行くことはできないかもしれませんが、現地に行く人たちの準備を支援することはできます」