シリア北東部の都市ハサケにあるシリア正教会の聖ジョージ大聖堂で19日、モーリス・アムシーフ大主教の就任式が行われた。シリアで続く内戦のため、シリア正教会は国内に主教がいない状況が4年前から続いており、大主教を迎えた人々は大きな希望を抱いている。
過激派組織「イスラム国」(IS)の支配が及ぶシリア北部では、特にキリスト教徒やヤジディ教徒などの少数派が大量虐殺の対象となり、強姦(ごうかん)や誘拐されることも頻繁に発生している。また、6年にわたる内戦で33万人以上が死亡し、国民の約半数が難民となって国内外に避難する事態となり、人口は大幅に減少した。
アムシーフ大主教が管轄するのは、シリア北部から東部にかけてのジャズィーラ地方とユーフラテス川沿岸地域全体。ハサケ県と県都のハサケの大半は現在、クルド人勢力が支配し、一部を中央政府が支配している状況だが、隣接するデイルエッゾル県は現在もISの支配下にある。しかし、アムシーフ大主教はISから解放されればすぐにでも訪問すると話している。
アムシーフ大主教の着任は、シリア国内で苦闘しているキリスト教徒にとって、地域社会再建の可能性を示す新たな希望となっている。大学生のジェニー・ハコップさん(23)はAFP通信(英語)に、「多くの人々が去りましたが、私たちはまだここにいます。そして今日起こったことは、私たちがまだこの国におり、私たちはこれからも留まることの証しなのです」と語った。