メキシコの首都メキシコ市で今年5月、ミサの最中に首などを刺されたカトリック司祭が今月初め、入院先の病院で死亡した。メキシコでは7月上旬にも71歳の神父が教会内で殺害されており、聖職者の犠牲者はこれで今年4人目となる。
メキシコ市教区は3日朝、メキシコ市メトロポリタン大聖堂でミサの司式をしていたホセ・ミゲル・マッコーロ神父(55)が、2日夜に昏睡状態となり、その後死亡したと発表した。
メキシコ市大司教のノルベルト・リベラ枢機卿はツイッターに、「マッコーロ神父の魂をたたえ、神が彼の家族に力を与えてくださるようお祈りします。マッコーロ神父が、神の栄光の中で安らがれますように」とコメントした。
マッコーロ神父は5月15日、その日の最後のミサを行っていた最中に、ジュアン・レネー・シルバ・マルチネス容疑者(32)に襲われ、首や胴などを刺された。同容疑者は逮捕後、精神障害を患っていたことが明らかになっている。
英カトリック・ヘラルド紙(英語)とカトリック・オンライン(英語)によると、マッコーロ神父は6月下旬まで集中治療を受けていたが、家族の元で過ごすため退院し、プエブラ州にある兄弟の家で自宅療養していた。しかし、亡くなる約1週間前に腸内感染により再入院。命の危険はないとされるも、栄養失調と神経系の問題のため、1日、プエブラ州の病院からメキシコ市の病院に緊急移送されていた。
キリスト教抑圧監視団体「世界キリスト教連帯」(CSW)によると、メキシコではここ10年余りにわたって麻薬戦争が続いており、殺人事件が頻繁に起きている。麻薬取引に反対するカトリック教会も被害を受けており、2005年〜15年の間に殺害された聖職者は31人に上る。