オーストラリアの国勢調査の結果が発表され、「無宗教」を選択した人の数が全人口の3割に達し、世俗化が着実に進んでいることが明らかになった。一方、他宗教では成長が見られるものの、キリスト教人口はこの半世紀で約36パーセントも減少した。
オーストラリア統計局が6月27日に発表した最新の国勢調査(2016年)の結果(英語)によると、無宗教と回答した人は29・6%で、この15年間でほぼ倍増。カトリック(22・6%)を超え、オーストラリアで最も多い宗教グループとなった。英ガーディアン紙(英語)によると、無神論者や世俗主義者、不可知論者らが無宗教のカテゴリーに含まれている。
無宗教、カトリックの次には、聖公会が13・3%で続き、プロテスタントのオーストラリア連合教会(長老派、メソジスト、会衆派の合同)は3・7%だった。これらキリスト教の教派の後に、イスラム教(2・6%)、仏教(2・4%)、ヒンズー教(1・9%)、その他(0・8%)、シーク教(0・5%)、ユダヤ教(0・4%)などの各宗教が続き、9・6%は該当なしと回答した。
キリスト教徒であることを自認する人は、半世紀前の1966年は88・2%だったが、今回の国勢調査では52・1%まで低下した。教派別に見ても、キリスト教のほとんどの教派が減少傾向にある。その一方で、他宗教や無宗教は増加している。
今回の国勢調査では、宗教以外でも顕著な変化が見られた。国民の4分の1近く、26%が海外で生まれたと回答。出生国は、オーストラリアを除けば、依然として英国が最も多いが、中国、インド、フィリピン出身の国民もかなりの部分を占め、アジア出身が初めて欧州出身を上回った。また、全人口は2340万に達し、前回11年の国勢調査に比べて8・8%増加した。
無宗教人口の増加はここ最近、他の多くの西欧諸国でも認められている。
米ギャロップ社の16年の世論調査(英語)によると、米国は依然としてキリスト教国であり続けているが、無宗教だと主張する人の割合が増え、現在は21%に達している。
米国民の74%が今も教会やキリスト教のグループに親近感を持つとしているが、その割合は、国民の10人に9人がキリスト教徒だった1940年代後半や1950年代と比べると著しく低下している。
一方、英国で行われた16年の調査(英語)では、イングランドとウェールズの無宗教人口が48・5%になり、初めてキリスト教人口(43・8%)を上回った。