大坂太郎氏(日本アッセンブリーズ・オブ・ゴッド教団ベテルキリスト教会牧師、福音主義神学会東部部会理事長)は、2015年9月から半年間で15キロ以上の減量に成功した。ダイエット前、90キロ近くあったという体は、現在は70キロほどになり、アロハシャツがよく似合うスリムな健康的な体に。クリスチャンとしてダイエットに挑んだその極意と方法とは。
――失礼ですが、おいくつに?
今年で49歳になります。ダイエットを始めたのが、今から1年半くらい前ですから、46歳の時ですね。
――お若く見えますね。
太っていた時は、年齢以上に見えたようですよ。今は年相応ですかね(笑)。
――ダイエットをしてみて、変化は?
まずは当然ですが健康になりました。また体が軽いので、動くのが苦ではなくなりましたね。約0・1トン(!)ですからね、やはり動けないんですよ。それから、好きな服が好きに着られるようになったことも楽しいですよね。スーツを着ていても、太っていた時はパツパツで鏡を見るのも嫌でした。
――太り始めたのはいつ頃。
うーん、徐々にだとは思いますが、決定的になったのは、2010年にこの教会に牧師として着任してからですね。移動がなくなったことが大きいです。それまでは神学校で毎日教え、日曜は遠方の教会に出向いていたので、動くわけです。その時はまだ75、6キロでしたが、今は超住職接近状態、教会内にある牧師館と自分のオフィス、そして礼拝堂だけで間に合ってしまいますから。
――運動量が減ったことが原因?
それだけではないです。いわゆる過食も見逃せません。好きなものを好きな時に食べる。僕はドーナツやポテトチップスが大好きなんですよ。例えば日曜の夜、その日のすべてのスケジュールが終わると、当然ストレスがたまる。そこで、ポテトチップスを開けて、ソファに座り、テレビを見ながらごろごろ。気が付くと1袋完食なんていうのはザラでした(笑)。
――太り始めたことには気付かなかった?
そりゃ気付きますよ。洋服が入らなくなるし、イースターやクリスマス、洗礼式などの時には、皆さんで写真を撮るでしょう。そうすると、「太った自分」と向き合わなければならない。でも、ある意味、罪に落ちた人間の姿によく似ていてですね、自分を見ようとしなくなるんですよ。体重計にものらないし、「太ったね」と言われても、「そんなことないよ」とごまかそうとする。
――ダイエットのきっかけは?
忘れもしない記念日が僕にはあるんです。2015年9月21日。これは所属教団の全国聖会の日だったのですが、仙台に着いて歩いていたら、同じく聖会に来た知り合いの牧師先生(女性)に、「あら、先生。どんどん貫禄がついてきちゃって」と冗談交じりというか、あいさつ代わりに言われたんですよね。
実はその聖会で司会の奉仕が当たっていたので、家を出る前日にスーツを用意したんですが・・・。どれを着てもパツパツ。格好悪いし、だらしなく見えるなあと少々自暴自棄になっていたところに、この先生の一言。それでスイッチが入っちゃったんですね。
さらに、聖会中に司会をやっている僕の姿を、仲のいい先生が写真に撮って、フェイスブックで送ってくれたんですが・・・。それがトドメの一撃。自らの罪を受け入れた人間のように、「悔い改め」いや「喰い改め」を誓ったのです
――外見を指摘されたショックは大きかった。
まあ、それはありますけど、それだけではないんですね。実は私は父を2010年に亡くしていまして。69歳でした。糖尿病とその合併症でしたね。最後の数年は週3日透析をするほどでした。私が生まれ育った頃(1970年代)、両親は北海道で開拓伝道をしていました。過酷で、何より経済的にも苦しかったので、うどんとジャガイモで取りあえず腹を満たすような食生活をしていたわけです。そのような生活で父は太ってしまい、一番重かった時は100キロ近くなったのではないでしょうか。それで、いきなり講壇で倒れて、糖尿が分かったんですよ。48歳の時でした。その後は闘病しながらの牧師生活でした。病を得て信仰に陰影ができ、深まりが生まれたとも言えますが、説教者として大切な声の張りなどは衰えましたね。
――そんな思いもあったのですね。
例の全国聖会の9カ月前、2015年の正月に姉から、「あんたも少し気を付けないと、お父さんみたいになっちゃうよ。お父さんは50代を棒に振って、60代で亡くなってるのよ」と言われていたんですよね。ただ、その時は、正直「うるさいな」くらいにしか思っていなくて、心配してくれているのに、現実を直視することを避けていました。
――それでも、なかなかダイエットできないと悩む女性は世の中にたくさんいると思いますが。
ずばり、ダイエットは信仰と似ています。まずは、自分が太っていることを言い訳せずに認めて、告白して、宣言するんです。ちょうど、クリスチャンが罪を認めて、告白をして、宣言をして受洗するように。
――告白する相手や宣言する相手は?
誰でもいいと思いますよ。僕の場合は、妻には言われたくなかった。ある意味、一番言われたくない人でしょ。たぶん、今までも僕のことを心配して、いろいろアドバイスしてくれていたのに、それに逆らって怠惰な食生活をしていて太ったのですから。メンツが立たない。そこで僕は親友に相談して、全国聖会の最終日に立ち食いステーキ屋に行ったんですよ。これが「儀式」です。「この食事をもって、僕はあしき食生活をやめる。古い自分を捨て去り、新しい自分になる」と宣言したんですよ。意志の弱い僕にとって、これはよかった。いいスタートでした。