人と人との絆を深め、その中でイエス・キリストの愛に出会ってもらおうと、黒人ゴスペルシンガーを講師とした英会話クッキング教室が13日、奈良県生駒市の「南コミュニティーセンターせせらぎ」で開催された。講師は、エアロダンスのインストラクターとしても活動し、ホープ・フォー・ジャパン(Hope4Japan)クリスチャンミニストリーの代表でもあるホゼア・ベーカーさん。参加者は、英語で料理を教えてもらいながら、米国南部の料理4品とケーキなどを楽しく作った。
4児の父でもあるベーカーさんは、2002年に米国から来日。さまざまな教会と協力して伝道し、人と人との絆を深めることによって平和な世界を目指そうと、09年にホープ・フォー・ジャパンを立ち上げた。英会話クッキング教室は関西地域を中心に年10回以上開催しているが、奈良県での開催は今回が初めて。同県で活動するGMS(a Grain of Mustard=一粒のからし種)ミニストリーズ代表の増田果枝(かえ)さんがベーカーさんの働きを知り、話を持ち掛けたことで実現した。
教室では料理を作りながら英語を話すため、難しい文法などは意識することなく、楽しく英語を学ぶことができる。分からない単語があってもすぐに質問でき、不慣れな発音を笑い合いながら、互いの距離はあっという間に縮まっていった。日本滞在歴15年のベーカーさんは日本語も流ちょう。当日は楽しさのあまり、日本語で話すことも多かったが、ベーカーさんの優しさとユニークさで、参加した子どもたちもすぐに打ち解けたという。
キリスト教系の異端の家庭で生まれ育った増田さんは、律法主義的な両親の元で、幼い頃には虐待に近い経験もしたという。結婚後にキリストに出会い、2011年に関西カルバリーフェローシップの小崎淳広牧師から洗礼を受けた。その後、GMSミニストリーズを立ち上げ、自身の幼い頃の経験や発達障がいのある2児を持つことになった経験から、虐待やネグレクトなどで傷ついた人々に寄り添い、ケアをする活動をしている。
傷ついた人々に交流を通じて、「こんなに人って優しいんだ」「こんな人もいるんだ」と気付いてもらい、「最終的にイエス様に出会ってもらえれば」というのが増田さんの思いだ。活動の中で、子どもの時期の「出会い」の重要性を感じたことから、子どもたちとの触れ合いも大切にしている。奈良県内の小学校では音楽イベントを企画し、子どもたちに「どんな状況でも、あなたは愛されている。価値ある存在なんだ」というメッセージを届けている。また、地域のイベントを主催することもあり、ゴスペル音楽やさまざまな慈善活動を通じて、地域にキリストの愛を届け、喜びを分かち合う人間関係が生まれるよう、活動に取り組んでいる。
今回の教室を振り返り、「まだ1回目ですが、確実に人と人がつながりました。キリストの愛と喜びがあふれていくことを私も心から喜びました」と増田さん。今後も継続していく考えで、ゆくゆくは地域の困っている人たちも巻き込み、そのような人々が交流できる場にしたいと話している。