全員が現役の牧師で構成されている「牧師ROCKS」。仏教の僧侶たちで構成される「坊主バンド」と対バン(競演)するなど、結成以来、何かと話題を呼んでいる。そんな牧師ROCKSも結成4年目を迎え、それを記念するライブが5月18日、四谷アウトブレイク(東京都新宿区)で行われる。ファン層は幅広く、年齢、宗教、男女の枠を超え、多くの人々が彼らのライブに訪れる。
牧師ROCKS結成当時からのメンバーで、ルーテル甲府・諏訪教会牧師の市原悠史(ゆうし)氏に、結成からこれまでの歩みを聞いた。
市原氏が同バンドのリーダー関野和寛(日本福音ルーテル東京教会主任牧師)氏から誘いを受けたのは、今から10年前となる2007年、ルーテル神学校に入学した初日だった。入寮しようと準備をしていると、げた箱に関野氏から「一緒にバンドをやろう。連絡をくれ」と書いたメッセージと名刺が入っていた。それまで関西地方の大学で軽音楽部に属し、バンド活動をしながら音楽の道を志したことも一時はあったが、牧師への道が開けた時に、それはすっぱり諦めたはずだった。しかし、断念して3日後、関野氏からのこの誘いで、再び音楽の道へ戻ることになったのだ。
この頃はまだ牧師ROCKS結成には至っていなかったが、神学校の勉強や牧会の傍ら、2人でさまざまな音楽活動を行ってきた。それから数年後、ルーテル教会の教区50周年記念に、何か面白くて、若い人にも興味を持ってもらえそうなことをしたいと考える中で、「全員、牧師のバンド『牧師ROCKS』をやってみたらどうか」という単発の企画が持ち上がった。
しかし、その後もCDをリリースしたり、ライブを行ったりと、活動の幅が広がり、いつの間にか単発ではなく、継続するバンドとして形が作られていった。坊主バンドともその後、何度も競演することになるが、初めて同じステージに立った時は、「独特の緊張感と、何か新しいことが始まるようなワクワク感があった」と市原氏は話す。
ライブではハードロックの要となるドラムを担当する市原氏だが、教会員にその姿を知る人は少ない。一方、ライブで迫力あるドラム演奏をする市原氏の姿を見て、「あんな男が本当に牧師として教会で説教をしているのか、見に行ってみよう」と教会に足を運び、それから続けて礼拝に来ている人もいるという。
市原氏は牧師ROCKSの活動についてこう話す。「4人の牧師は全国に散らばって牧会しているため、全員揃うのは年に数回。メンバーがわざわざ遠いところから1カ所に集まって、ライブハウスという、ある意味『守備範囲外』の場所に出向くことに大きな意味がある。教会に1度も足を踏み入れたことはないが、音楽が好きでライブハウスにはよく来るといった層にとって、初めて出会う『牧師』が僕ら。彼らの人生に少しでも触れられれば、それでいいのではないか。そこから教会につながってくれれば本当にうれしいが、祈りつつ僕らも楽しみ、ライブに来てくれた人々も楽しんでくれれば、成功なのだと思う」
現在、牧師ROCKSは新曲の準備を進めている。18日のライブで披露されるかどうかは神のみぞ知る、といったところ。
今回は、宗教改革500年版の牧師ROCKS関連グッズの販売も予定している。また、「懺悔部屋」では、先着でメンバーが話を聞き、祝福を祈る。
牧師ROCKS結成4周年記念ライブ
日時:5月18日(木)午前6時開場 午後6時半開演
場所:四谷アウトブレイク
共演:COCORO*CO little moa kanako
〈チケット〉
前売り 2000円(+1ドリンク500円)
当日 2500円(+1ドリンク500円)
※ 宗教・年齢は不問。車いす入場可能。5歳以下無料。飲酒禁煙。宗教勧誘皆無。
チケット予約は名前・電話番号・枚数を明記の上、[email protected] まで。