春休みがやって来ました。息子と、彼の3人の友達は、学校から解放されて待ちに待った春休みの過ごし方について、念入りに案を練っていました。
まず最初は、サッカーの試合。続いて、インディアン居住保護地域を通りピース・アーチ公園(カナダとアメリカの国境にある)までハイキング、そして野球、という計画でした。チームのリーダーともいえる10歳の少年は、9歳の3人の友達に忘れずに持って来る持ち物のリストを渡しました。
リストには次のように書かれています。「5セントのガム、サンドウィッチ、りんご1つ、飲み物用に15セント、薄手のジャケット、野球のボール、ミット、グローブ」
彼らは元気いっぱいにおしゃべりをしたり、笑いながら、喜び勇んで出掛けて行きました。夕方になり、帰って来た息子や友達の顔には、楽しさを満喫した様子がはっきりと表れていました。10キロ近くハイキングをしてきたのですから、疲れていないはずはないのです。
彼らは芝生にパタンと座り込み、クッキーとミルクを頬張っていましたので、「疲れたでしょう」と、私から声を掛けてみました。すると、一斉に、「大丈夫」という声が返ってきました。大きな声ではありましたが、本当に大丈夫かどうか怪しいものでした。
ミルクを一口、グッと飲み、走ってグローブを取りに行きました。裏庭で、別の野球の試合にすぐに参加することになっていたからです。彼らはまだ野球を続けていたかったようですが、夕飯の時間になったので、翌日の計画を綿密に立ててから、それぞれ分かれて帰って行きました。
春休みの期間には限りがあります。ですから、彼らは、1分1秒でも無駄にしないで、休みを最大限、楽しみたいのでしょう。息子たちはまだ少年ですが、休みの時間を有効に使うことで一生懸命でした。
彼らが休みを楽しむときは、時間は今しかないと遊びを最優先していますが、人生の戦いの最中にいる多くのキリスト者にも、彼らほど、時間に切迫した思いがあるでしょうか。人生の時間にも限りがあります。一日一日を何となく過ごして、それで平気でいられるでしょうか。
確かに、これから先の人生の道は長く、時間もたっぷりあると感じているかもしれません。しかし、振り返ってみると、「光陰矢の如し」で月日が何と早く過ぎていくのかということに気付かされます。目的もなく、成り行き任せで呑気(のんき)に過ごしていたら、きっと後で、むなしさに襲われたり、不満を抱いたりすることになるでしょう。
4人の若い少年たちは、自分の日を数えました。そして、楽しい時間を過ごすためには、限られた時間に自らの心を注ぎ込んだのです。福音を宣べ伝えるために、私たちは少年たちほどでなくても、時間を無駄にしないようにしませんか。
「それゆえ、私たちに自分の日を正しく数えることを教えてください。そうして私たちに知恵の心を得させてください」(詩篇90:12)
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【書籍紹介】
ミュリエル・ハンソン著『蜜と塩―聖書が生きる生活エッセイ』
読んでみて!
一人でも多くの方に読んでいただきたいエッセイです。聖書を読んだ経験が有る、無しにかかわらず、著者ファミリーの普段着の生活から「私もそのような思い出がある」と、読者が親しみを抱くエッセイです。どなたが読んでも勉強になります。きっと人生の成長を経験するでしょう。視野の広がりは確実です。是非、読んでみてください。
一つは、神を信じている者が確信を持って生きる姿をやさしく、ごく当たり前のこととして示しているからです。著者は、日本宣教のため若き日に、情熱を燃やしながら来日しました。思わぬ事故のためにアメリカへ帰らなければなりませんでしたが、生涯を通して神への信頼は揺るぎませんでした。
もう一つは、日常の中に働いている聖霊のお導きの素晴らしさを悟ることができるからです。私たちの日常生活が神様のご意志のうちに在ると知ることは、安心と平安を与えるものです。
さらに、著者のキリスト者生活のエピソードを通じて、心が温まるものを感じます。私たちの信仰生活に慰めと励ましが与えられます。信仰が引き上げられて、成長を目指していく姿勢に変えられていく自分を発見するでしょう。
長く深く味わうために、急がずに、一日一章ずつでもゆっくりと読んでみてはいかがでしょうか。お薦めいたします。
ハンソン夫妻の長い友 神学博士 堀内顕
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