エルサレムで最近、新しい巡礼ルートがオープンした。イスラエル考古学庁(IAA)によるプロジェクトの一環で、約2千年前にイエス・キリストと弟子たちが歩いたと考えられている道のりを再現している。
巡礼ルートは、ユダヤ教の三大祭り(過越〔すぎこし〕祭、七週〔しちしゅう〕祭、仮庵〔かりいお〕祭)の時、エルサレム神殿を訪れた何万人もの巡礼者たちによって使われたオフェルにある古代の儀式用の沐浴(もくよく)槽を中心としたものになっている。当時の巡礼者たちは、「ダビデの町」(エルサレム旧市街地の南側)を通って、シロアムの池からオフェルにある儀式用の沐浴槽へ行き、そしてそこからエルサレム神殿があった「神殿の丘」に上って行ったと考えられている。
IAAはこの道のりに標識を立て、現代の巡礼者たちが、イエスや弟子たちが通ったであろう道と同じ道をたどることができるように整備した。巡礼者たちは、道途上で目にするさまざまなものについて、その都度説明書きを見ながらルートを巡り、最後には「神殿の丘」の南壁にあるフルダ門(二重門)と大階段に達する。過去の建造物や施設の遺跡の間には「浮かぶ階段」もあり、その両側にある休憩所や監視所、集会所などを見ることができる。
ユダヤ人の儀式用の沐浴槽は、神殿祭儀のために礼拝者たちを清めるために用いられ、キリスト教の洗礼の儀式の起源だとされている。エルサレム神殿が破壊された後、ユダヤ人は何百年もの間、エルサレムに住むことを禁じられ、その間、放棄された沐浴槽はユダヤ人以外の居住者たちによって、貯水槽や保管場所、石切り場として使われたと考えられている。
カトリック・オンライン(英語)によると、この巡礼ルートは2月初めに正式にオープンした。「神殿の丘」の南西側にあるエルサレム考古学公園内の博物館「デイビッドソン・センター」からは、新しい巡礼ルートを巡るツアーも提供されている。ツアーは75分ほどのもので、ユダヤ教の安息日である土曜日は休みとなっている。