<本文と拓本>32文字(296+32=328)
含靈於是乎既濟(含靈<人>は是においてや既に濟われる)。能事斯畢(能事、斯に畢〈お〉わり)、亭午昇真(亭午に昇真する)。經留廿七部(經は27部をとどめ)、張元化以發靈閞(元化を張り、もって靈閞を發す)。法浴水風滌浮華
<現代訳>
こうして人は救われ、救いの御業は完了し、太陽が真昼の上に昇りつめたさまのようです。新約聖書は27部をとどめ、(神との)関係に返るため霊を降された。主の教えと洗礼と浄風の働きは、心の汚れを洗い流し、聖化に導かれた。
<解説>
太陽が真上に昇りつめていくことと、船が掉さして天辺に昇る表現は、古代エジプトや西洋では太陽信仰の1つです。しかし、この箇所は太陽信仰ではなく、イエス・メシアが死から復活し昇天されたことに重ね、信徒たちも天に昇っていくさまを実体的に表現しました。事実、人が死から復活し昇天したのはイエス・メシア以外になく、他宗教はそれを理想化し偶像化したものでしょう。
碑が建てられた781年の唐代に新約聖書が27部と刻まれていることは、聖書が正しく伝えられ、訳されていたとも考えられます。現在、聖書あるいは分冊聖書が発見されていないことが残念です。635年に作成された『尊経』には、聖書と多くの教義書などの翻訳があったと記されています。
※ 参考文献
『景教—東回りの古代キリスト教・景教とその波及—』(改訂新装版、イーグレープ、2014年)
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