今では毎年恒例になっていますが、11月の感謝祭の日が来ないうちから、巷(ちまた)ではクリスマスの飾り付けが始まります。そしてまた、時を同じくして始まるものがあります。叫び声です。時にはか細い声で、時には声を上げて、教会からも、伝道熱心な人々の間からも、嘆き悲しむ叫び声が聞こえ始めるのです。煎じ詰めれば、こういう声です。
「クリスマスの時にこそ、イエス・キリストを伝えよう!」
クリスマスにはバースデーケーキにろうそくを灯し、子どもたちが炎を吹き消して「ハッピー・バースデー、イエス様」と歌う家庭が多くあるでしょう。また、クリスマスの真の意味をより身近に感じられるように、聖書にあるキリスト・イエスの誕生物語を読んで聞かせる家庭もあると思います。そればかりか、実際にクリスマス・メッセージを伝える劇まで、家族で演じる家庭もあります。
確かに最近では、私たちクリスチャンはさまざまな方法で、この時期にイエス様がこの世にお生まれになった本当の意味を示そうとしてはいます。それはそれで良いでしょう。しかしながら、クリスマスの本当の意味を深く理解した上で、それにふさわしい形でお祝いをしているでしょうか。
ろうそくを灯したり、「ハッピー・バースデー」と歌ったりして、ただ時間や費用をかけ、ありきたりのやり方でいい加減にお祝いしていないでしょうか。クリスマス・シーズンだからとお祭り気分で、私たち自身が主役になり、本来、主役であるはずの主なるイエス樣を脇へ追いやってはいませんか。
今1度、思い起こしましょう。キリスト・イエスがこの世に来てくださったのは、他ならぬご自身を与えるためだったということ、私たちの罪の身代わりとして十字架にかかって死に、3日目に復活され、主を信じる者に永遠の命を与えてくださるためだったということを。ご誕生の背後にあるこの真実こそが最も重要なのです。
このクリスマスの時に、私たちクリスチャンに与えられている使命は何でしょうか。神様が御子イエス様をこの世に送ってくださった、その大いなる恵みを、イエス様をまだ知らない人たちやイエス様を切に求めている人たちと、分かち合うことではないでしょうか。
今、私たちが生活しているこの場所から、もっともっとこの恵みを伝える宣教の業に励んでいきませんか。そのために、今年は実際の飾り付けはほどほどにし、むしろ心を整えて、主のご降誕を心からお祝いいたしましょう。
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【書籍紹介】
ミュリエル・ハンソン著『蜜と塩―聖書が生きる生活エッセイ』
読んでみて!
一人でも多くの方に読んでいただきたいエッセイです。聖書を読んだ経験が有る、無しにかかわらず、著者ファミリーの普段着の生活から「私もそのような思い出がある」と、読者が親しみを抱くエッセイです。どなたが読んでも勉強になります。きっと人生の成長を経験するでしょう。視野の広がりは確実です。是非、読んでみてください。
一つは、神を信じている者が確信を持って生きる姿をやさしく、ごく当たり前のこととして示しているからです。著者は、日本宣教のため若き日に、情熱を燃やしながら来日しました。思わぬ事故のためにアメリカへ帰らなければなりませんでしたが、生涯を通して神への信頼は揺るぎませんでした。
もう一つは、日常の中に働いている聖霊のお導きの素晴らしさを悟ることができるからです。私たちの日常生活が神様のご意志のうちに在ると知ることは、安心と平安を与えるものです。
さらに、著者のキリスト者生活のエピソードを通じて、心が温まるものを感じます。私たちの信仰生活に慰めと励ましが与えられます。信仰が引き上げられて、成長を目指していく姿勢に変えられていく自分を発見するでしょう。
長く深く味わうために、急がずに、一日一章ずつでもゆっくりと読んでみてはいかがでしょうか。お薦めいたします。
ハンソン夫妻の長い友 神学博士 堀内顕
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