ある日の午後、娘と娘の友達がやってはいけない事をしていました。子どものいたずらを目撃するというのは、多くの母親が度々経験することでしょうが、私も現場を見てしまったのです。この2人が親の言いつけを守らずにどんな悪い事をしていたのかは、もうかなり前のことなので、今では思い出せません。
思い出せるのは、私が部屋に入って行ったときの娘の表情です。その表情だけは、決して忘れられません。私が何も言わないうちから、娘のパーミーはワーッと泣き出し、まだ4歳という幼さでも、悪い事をしてしまったという心からの後悔の念が顔にはっきり表れていました。
「あぁ、ママ」と、彼女はむせび泣きながら言いました。「どうしてなの、やる前はいけない事だと分かっていたのよ。でも、とってもいい事に思えてね。それが、やった途端に、悪い事をしちゃったって思ったの。ねえ、それって、どうして?」
誘惑の魔の手に陥る前に、誘惑がどんなに恐ろしいものかを、神様が私たちに教えていてくださっていたら、と誰もが願わずにはいられませんね。
私たちが立ち向かわなければならないのは、誘惑だけではありません。試練もあります。試練に遭うのと遭わないのとでは、全く違った人生になるでしょう。
「あなたがたの会った試練はみな人の知らないものではありません。神は真実な方ですから、あなたがたを、耐えられないほどの試練に会わせることはなさいません。むしろ、耐えられるように、試練とともに脱出の道も備えてくださいます」(Ⅰコリント10:13)
また、次のような御言葉もあります。
「主は、ご自身が試みを受けて苦しまれたので、試みられている者たちを助けることがおできになるのです」(ヘブル2:18)
「私たちの大祭司は、私たちの弱さに同情できない方ではありません。罪は犯されませんでしたが、すべての点で、私たちと同じように、試みに会われたのです」(ヘブル4:15)
たとえ誘惑がどんなに人の心を惹(ひ)きつけ興味をそそるものであっても、子どもは大きくなれば、きっとこのような誘惑にも負けない術を身につけるようになるでしょう。
主なるイエス様ご自身が、私たちより先にあらゆる誘惑や試練を経験していらっしゃるのです。ですから、どのようにそれに耐えたらよいかをご存じのイエス樣が、私たちを助けてくださいます。
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【書籍紹介】
ミュリエル・ハンソン著『蜜と塩―聖書が生きる生活エッセイ』
読んでみて!
一人でも多くの方に読んでいただきたいエッセイです。聖書を読んだ経験が有る、無しにかかわらず、著者ファミリーの普段着の生活から「私もそのような思い出がある」と、読者が親しみを抱くエッセイです。どなたが読んでも勉強になります。きっと人生の成長を経験するでしょう。視野の広がりは確実です。是非、読んでみてください。
一つは、神を信じている者が確信を持って生きる姿をやさしく、ごく当たり前のこととして示しているからです。著者は、日本宣教のため若き日に、情熱を燃やしながら来日しました。思わぬ事故のためにアメリカへ帰らなければなりませんでしたが、生涯を通して神への信頼は揺るぎませんでした。
もう一つは、日常の中に働いている聖霊のお導きの素晴らしさを悟ることができるからです。私たちの日常生活が神様のご意志のうちに在ると知ることは、安心と平安を与えるものです。
さらに、著者のキリスト者生活のエピソードを通じて、心が温まるものを感じます。私たちの信仰生活に慰めと励ましが与えられます。信仰が引き上げられて、成長を目指していく姿勢に変えられていく自分を発見するでしょう。
長く深く味わうために、急がずに、一日一章ずつでもゆっくりと読んでみてはいかがでしょうか。お薦めいたします。
ハンソン夫妻の長い友 神学博士 堀内顕
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