米北西部ワシントン州にあるベルビュー大学の大講義室に15日、花屋を経営するクリスチャンの祖母、バロネル・スタッツマンさん(70)への支持を表明する、何百人もの人々が集まった。スタッツマンさんは、同性カップルの結婚式のフラワーアレンジメントの依頼を、自身の信仰のために断ったことで、下級審で賠償金の支払いを命じられ、現在、州最高裁に上訴している。
米FOXニュースによると、スタッツマンさんは、同州リッチランドにある花屋「アーリーンズ・フラワーズ」のオーナー。この日は、スタッツマンさんを支持する人々が300人以上集まり、白いバラや、「自由を花咲かせよ」「創作の自由を」「バロネルさんに公正な裁判を」などと書かれたプラカードを持って、彼女を励ました。
支持者の1人、同州アーリントンのジョージーン・フェアリーズさんは、キリスト教信仰のために立ち上がったとして、スタッツマンさんを称賛した。フェアリーズさんは、地元のトリシティー・ヘラルド紙に対して、「私は宗教の自由を信じるので、ここにいます。そして私は、自分の信じることのために立つ自由を私たちが持っていると考えます。だから、私はバロネルさんを支持します」と述べた。
フェアリーズさんは、同性愛者たちの要求を聞き入れることを断ること自体は、何も悪いことではないと言う。「それは憎しみを扇動することではありません。私は、本当に混同があり、曲解があり、特にうそがあると思います。私たちは誰のことも憎んではいないからです。私たちは個人を憎んではいません」
弁護士を通して上告したスタッツマンさんはこの日、口頭弁論のため、同州最高裁に出頭した。スタッツマンさんは2013年、同性カップルのロバート・インガーソルさんとカート・フリードさんの結婚式で、彼らのためにフラワーアレンジメントをすることを断った。しかし、2人は差別を受けたなどとして訴え、同州ベントン郡上位裁は15年、スタッツマンさんに対して、計1001ドル(約11万円)を彼らに支払うよう命じていた。
同性カップルの1人、インガーソルさんは、アーリーンズ・フラワーズの常連客で、スタッツマンさんは10年近く彼にサービスを提供してきた。また、8人の子どもと22人の孫がいるスタッツマンさんはこれまで、店では同性愛者を従業員として雇ったこともあったという。しかし、自身が信じるキリスト教信仰から同性婚は認められないとして、自身の信仰観が表れる結婚式のフラワーアレンジメントは断ったという。
一方、インガーソルさんとフリードさんは、別の花屋に注文することもできたが、米国自由人権協会(ACLU)の協力を得て、スタッツマンさんを訴える道を選んだ。
法廷審問の間、スタッツマンさんは、自身が信じていないことのためにサービスを断る自由を持っていると主張した。
スタッツマンさんは支持者たちに対して、「政府は私に1つの選択肢があると一方的に伝えています。それは、私が自分の信仰と自由を放棄するか、あるいは私が自分の所有する全てを失うかです」と語った。「私たちの憲法は自由を保障しますが、それはただ私だけの自由ではなく、私たち全ての自由なのです」
スタッツマンさんはまた、支持者たちに対して、キリスト教信仰を守ることは悪いことではないと語った。そして、「政府が干渉してきて、何をすべきか、何を作るベきか、また何を信じるべきかを私たちに命じるとき、私たちは自由な米国に生きてはいないのです」と語った。