米軍北部訓練場のヘリコプター離着陸帯の移設工事への反対運動をめぐり、20日に吉田慈(しげる)牧師(日本基督教団林間つきみ野教会)が、沖縄県警に傷害と公務執行妨害の疑いで逮捕された状況について、日本基督教団関東教区は、総会議長と宣教部委員長名で「不当逮捕に抗議し、二人の即時釈放を求めます」との声明文を21日付で発表し、教区ホームページに公開した。
この声明文では、高江の米軍ヘリパッド建設工事をめぐって防衛省沖縄防衛局の男性職員にけがをさせたとして、傷害と公務執行妨害の容疑で17日に山城博治氏が再逮捕され、20日に吉田牧師が逮捕されたことを、抗議運動を弾圧するために行われた不当な逮捕であると感じている、としている。
さらに逮捕容疑が、8月25日朝に2人が沖縄防衛局員の腕や肩などをつかんでけがを負わせたことが理由とされているが、なぜ2カ月もたった現時点での逮捕なのか、と疑問を呈している。
また抗議運動を行っている市民らが、機動隊員によって首を絞められるなどの行為でけがを負わせられ、救急搬送されることが日常的に行われているなど、暴力による排除が正当化されていることも指摘し、2人の逮捕は不当逮捕であり、沖縄防衛局員のけがの具体的な内容にも、疑念を持たざるを得ないとしている。
その上で、この2人の不当な逮捕に抗議し、一刻も早い即時釈放を求めるとともに、普天間基地を即時無条件に米軍より返還させ、辺野古への新基地建設および高江への米軍訓練のためのヘリポート建設を即刻中止することを強く要望する、としている。
声明文の全文は次の通り。
*
2016年10月21日(金)
内閣総理大臣 安倍晋三様
防衛大臣 稲田朋美様
沖縄防衛局長 中嶋清一郎様
浦添警察署長 崎原永克様
不当逮捕に抗議し、二人の即時釈放を求めます
日本基督教団関東教区
総会議長 秋山徹
宣教部委員長 飯塚拓也
昨日、高江の米軍ヘリパッド建設工事を巡って、防衛省沖縄防衛局の男性職員にけがをさせたとして、傷害と公務執行妨害の容疑で、すでに17日に別件で逮捕されていた山城博治さんが再逮捕され、そして、日本基督教団神奈川教区林間つきみ野教会の吉田慈牧師も同容疑で沖縄県警に逮捕されたとの報に接しました。
私たちはこのことがヘリパッド建設への抗議行動を弾圧するために行われた、不当な逮捕であると感じています。
報道によると、逮捕容疑は8月25日朝、沖縄防衛局員の腕や肩などをつかんでケガをおわせたことが理由と伝えられていますが、なぜ二か月も経とうとする時点での逮捕なのでしょうか。また、ヘリパッド建設に反対する市民たちが機動隊員によって首を絞められ、車にひかれ、怪我を負わされ、失神させられ、救急搬送されることが日常的に行われています。そのように、非暴力で反対する市民たちに対しては、暴力で制圧している実態があるのです。つまり、ヘリパッド建設に反対する者たちへの有無を言わさない力づくでの排除を正当化する皆さんの姿があるのです。ゆえに、私たちはこの二人の逮捕は全くもって不当以外のなにものでもないと判断します。沖縄防衛局員のケガの具体的な内容にも、疑念を持たざるを得ません。
機動隊員による暴言が、このたび明らかになりました。「土人」「シナ人」と罵った事実が明らかになったのです。この差別と侮蔑に満ちた機動隊員たちの言動には怒りを禁じません。沖縄に米軍基地が集中し、沖縄の人々が訓練のために日常を脅かされ、米軍の相次ぐ暴行犯罪にさらされる問題は、沖縄をどう考えているのかとの根源的な問いに至ります。そして、まさに沖縄を差別し、沖縄の人々の生活を軽んじているからこそ、このたびの機動隊員による信じられないような市民への扱いが行わるのではないでしょうか。このことは、辺野古においても、基地反対を訴える市民たちに対して全く同じことが行われているのです。
私たちは、反対運動を封じ込めるために行われた、今回の二人の不当な逮捕に抗議し、一刻も早く即時釈放を求めます。また、普天間基地を即時無条件に米軍より返還させると共に、辺野古への新基地建設および高江への米軍訓練のためのヘリポート建設を即刻中止されることを強く要望いたします。