米国聖書協会が過去10年間に執筆した英語の本で、色彩豊かな絵や鮮やかなカラー写真を含むデザインによる4冊の聖書関連本が、タイム・ホーム・エンターテインメント社(Time Inc. Home Entertainment、米国ニューヨーク)から出版されてきているのをご存じだろうか?
その1つ目は、2006年に出版された『Inside the Mysteries of the Bible: New Perspectives on Ancient Truths』である。日本語で言えば『聖書の謎の内側:古代の真実に関する新しい視点』という題の本だ。
その内容は、1. The Da Vinci Code(ダビンチの暗号)、2. The Wonders of Creation(創造の不思議)、3. Mysterious Disappearances (謎めいた失踪)、4. Superheroes of the Faith(信仰のスーパーヒーロー)、5. Unnatural Disasters (不自然な災害)、6. Angels and Demons (天使と悪霊)、7. Jesus, A Life Shrouded in Mystery(イエス、謎に包まれた生涯)、8. Jesus, A Death Even More Mysterious (イエス、さらに謎に包まれた死)、9. More Than Smoke and Mirrors (煙や鏡以上に)、10. Strange But True(不思議だが真実)、11. The Bible Itself Is a Mystery(聖書自体が謎である)、12. Impossible Missions (あり得ない使命)、13. Life, Death, and Healing (生と死、そして癒やし)という13の章からなっている。そして、最後にエピローグ(結び)として、聖書の謎と神の探求などについて述べられている。単なる謎解き本ではないようだ。
2つ目は、2008年に同じくTime Inc. Home Entertainmentから出版された『The Life of Christ: Rediscovering How His Life, Death, and Resurrection Changed the World』という本である。キリストの生と死、そして復活がどのように世界を変えたかを再発見するという本なのだが、それはキリストを探究し、読む人の信仰をあらためて問い直す書であるといえるだろう。
それには、1. The Historical Context of the Life of Christ(キリストの生涯が持つ歴史的文脈)、2. Jesus: Who Is He Really? (イエス:彼は本当に誰なのか?)、3. Historical Information (歴史的な情報)、4. Jesus’ Birth and Childhood(イエスの誕生と子どもの頃)、5. Miracles: The Power of Jesus Christ (奇跡:イエス・キリストの力)、6. Famous Sayings of Jesus(イエスの有名な言葉)、7. Jesus’ Final Week: Leading Up to Good Friday(イエスの最期の週:聖金曜日に至るまで)、8. Jesus’ Final Week: The Path to Crucifixion(イエスの最期の週:磔刑[たっけい]への道)、9. The Resurrection (復活)、という9つの章が含まれている。そしてイエスの生涯の後に続く彼の約束と祈りが、エピローグとして記されている。
3つ目は、2013年に出版された『Messages from God: What the Bible Reveals to You』。神からのメッセージについて、聖書があなたに何を啓示しているのかという本である。これは、聖書に隠された神のメッセージと使命について、以下の9つの章を通じて明らかにしている。1. The Wonders of Creation (創造の不思議)、2. The Mystery of Moses (モーセの謎)、3. Decoding Ancient Stories (古代の物語の暗号を解く)、4. Secret Reasons for War(戦争のための秘密の理由)、5. What Was Jesus’ Mission? (イエスの使命とは何だったのか?)、6. Supernatural Meaning Behind Supernatural Power(超自然的な力の背景にある超自然的な意味)、7. Finding Meaning in Death(死の中に意味を見いだす)、8. The Deeper Meaning of the Resurrection(復活が持つより深い意味)、9. Unseen Characters in the Story(この物語の中にいる見えないキャラクター)。ここでいう「キャラクター」とは、天使のことである。
そして4つ目は、同じく2013年に出版された『Sacred Places: Exploring the Lands of the Bible』という本だ。これは、聖書に出てくる聖なる場所を、聖句と鮮やかなカラー写真、そして解説でまとめて紹介しており、まるで読む人を聖地の史跡旅行へといざなうかのようである。
その第1章はMesopotamia(メソポタミア)、第2章はCanaan(カナン)、第3章はEgypt(エジプト)、第4章はConquest of Canaan(カナンの征服)、第5章はThe Kingdom of Israel(イスラエルの王国)、第6章はJudea(ユダヤ)、第7章はGalilee(ガリラヤ)、第8章はAsia Minor(小アジア)、第9章はGreece and Rome(ギリシャとローマ)、そして最後に第10章はAround the World(世界中)という内容構成になっている。
『Messages from God』と『Sacred Places』については、米アマゾンでそれらの中身をそれぞれ一部見る(look inside)ことができる。
これらの本に引用されている英語の聖書は主にContemporary English Version(CEV)という、比較的分かりやすい話し言葉で書かれた聖書で、英語圏では小学生や英語を第2言語として学ぶ人たちでも読めるというもの。また、『Sacred Places』以外の3冊には、New International Version(NIV: 新国際訳)も一部引用されている。
なお、これらの本のうち、『The Life of Christ』はいずれもハードカバーとペーパーバックの両方が現在も売っているが、『Inside the Mysteries of the Bible』のハードカバーは絶版となっており、『Messages from God』はペーパーバックのみとなっている。『Sacred Places』はハードカバーはあるが、ペーパーバックはStephenKoepp編の単刊雑誌として米アマゾンなどで販売されている。いずれの本も電子書籍版はない。
また、日本聖書協会によると、同協会がこれらの本の日本語訳を出版する計画は「今のところない」が、英語原書については「版元が他国の聖書協会ではない場合は、日本聖書協会を通さずに一般の洋書と同じルートで輸入し購入するほうが早いのではないか」とのこと。
英語の聖書、特にCEVを読む人の副読本として、これらの本を読むと、聖書の理解が深まるかもしれない。