キリスト教出版販売協会が主催する「キリスト教本屋大賞2016」の受賞作品がこのほど発表され、大島力監修『聖書人物おもしろ図鑑 旧約編』(日本キリスト教団出版局)が大賞を受賞した。他の14の受賞作品と共に全国のキリスト教書店員が選んだ「いちばん読んでほしい本」として、各キリスト教書店の店頭に並べられ、フェアが開催されている。
5日には、東京都内のホテルで授賞式が、全国のキリスト教出版販売加盟書店、出版社、取次の関係者が集まる会合の中で行われた。『聖書人物おもしろ図鑑 旧約編』の編者の1人、真壁巌氏が出席して賞状と花束を受け取った。
監修の大島氏も、受賞に当たり喜びのコメントを発表し、「旧約聖書は物語の源であり宝庫。それは基本的に『文字』によって長く伝承されて来たものですが、物語は私たちに豊かなイメージをいだかせる。それを短い文章とイラストで表現した本書がキリスト教本屋大賞に選ばれたことは、大きな喜びだ」と述べた。
同賞は、低迷するキリスト教出版業界を少しでも活性化させようと、2011年に始まった。キリスト教出版販売協会に加盟する全国のキリスト教書店が、過去1年間に刊行された本の中から「売りたい・お勧めの本」を投票形式で選ぶ。一次選考では、書店員の投票によってノミネート作品が選ばれ、二次選考を経て15作品の中から大賞が決定された。
大賞に選出された『聖書人物おもしろ図鑑 旧約編』は、旧約聖書に登場する人物の簡潔な紹介や背景説明、地図や系図によって、1冊で旧約聖書の世界が一望できる内容になっている。オールカラー・イラスト図解で大変分かりやすく、まさに、子どものための旧約聖書入門といえる。大阪キリスト教書店の上田玲子さんは、「『聖書に出てくる登場人物』をテーマにした本・辞典ならたくさんあるが、この本はひと味もふた味も・・・というか、全然違う!旧約聖書が本当に面白くなる1冊」と絶賛。日本キリスト教団出版局によれば、旧約編の対となる新約編も今年11月に刊行予定だという。
2位には田澤雄作著『メディアにむしばまれる子どもたち 小児科医からのメッセージ』(教文館)、3位には平野克己編『祈りのともしび 2000年の信仰者の祈りに学ぶ』(日本キリスト教団出版局)が選ばれた。同賞が対象とする作品は、神学書・信仰書などの分野は問わず、「書店員がとにかく読者にお勧めしたい本」という基準のみが設けられており、今年の受賞作品のジャンルも非常に幅広く、ターゲットもさまざま。
キリスト教の教えを教育理念に据えた中学・高校・大学などで聖書理解を助ける教科書として用いられている、富田正樹著『キリスト教資料集』(日本キリスト教団出版局)や、NHK朝の連続ドラマ「あさが来た」のヒロインで注目を集めた広岡浅子の生涯を描く、フォレストブック編集部編『浅子と旅する。』(いのちのことば社)、子どもたちへのプレゼントにぴったりな、ギル・ガイル絵・日本聖書協会文『よくみてさがそう せいしょえほんクリスマス』(日本聖書協会)などがランクインした。
過去の大賞には、第1回に日野原重明著『愛とゆるし』(教文館、2010年)、第2回に山浦玄嗣(はるつぐ)著『ガリラヤのイェシュー』(イーピックス出版、2011年)、第3回に渡辺和子著『置かれた場所で咲きなさい』(幻冬舎、2012年)、第4回に八木谷涼子著『もっと教会を行きやすくする本』(キリスト新聞社、2013年)、前回はジェラルディン・マコックラン著『エッサイの木 クリスマスまでの24のお話』(沢知恵訳、池谷陽子絵、日本キリスト教団出版局、2014年)がそれぞれ選ばれている。
読書の秋、「何を読もうかしら」と迷ったときには、キリスト教書店に足を運んで受賞作品を手にとってみてはいかがだろうか。「キリスト教本屋大賞2016」のノミネート・受賞作品の詳細・推薦コメントなどは、随時フェイスブックで公開されている。