クライスト・カテドラルの35エーカー(約14万平方メートル)の敷地は改修後、どのように生まれ変わるのだろうか。カトリック教会のオレンジ教区(米カリフォルニア州オレンジ郡)は2012年、「クリスタル・カテドラル」の名で知られていたプロテスタント教会の建物を買い取り、「クライスト・カテドラル」に改名した。数千万ドル(数十億円)を投入しての改修を計画しており、18日には完成予想図をバーチャルツアーで公開した。
同教区は18日、約5千人のカトリック教徒を迎え、教区創立40周年の記念式典を同敷地内で開催した。式典では、故ロバート・H・シュラー牧師によって創設されたクリスタル・カテドラルの改装後の姿を、バーチャルツアーで公開。同教区は、オレンジ郡ガーデングローブにあるこの全面ガラス張りの教会を、7200万ドル(約72億7千万円)かけて改修する。
米ロサンゼルス・タイムズ紙によると、バチャールツアーでには、噴水のある緑地や祭壇、司教の座席、洗礼盤などに焦点が当てられている。新しい円形の聖堂には、約3千席の信徒席が放射状に配置され、グアダルーペの聖母の肖像画が飾られる。
「欧州の大聖堂は、完成までに数世代かかりました」「私たちには、昔の聖堂建築者のような時間的余裕がありません。目標は、2019年までにクライスト・カテドラルを献堂することです」と、同教区のケビン・バン司教は語った。
改修計画には、司祭や一般信徒、専門家らのアイデアが盛り込まれた。
オレンジ・カトリック財団のシンディー・ボブラック会長によると、同教区は改修事業のキャンペーンを通して、過去4年間で約3900万ドル(約39億4千万円)を調達した。今後2〜5年の間に、さらに2100万ドル(約21億2千万円)余りを調達する予定だという。
地元紙「オレンジ・カウンティー・レジスター」によると、約33万人の信徒数で始まった同教区は、現在130万人にまで成長し、62の小教区(教会)、41の学校、3つの病院やケアセンター、数多くの貧困層支援施設を有するまでになった。今や同教区は、世界で12番目の規模を誇るカトリック・コミュニティーである。
「この革新的て洞察に満ちた改修事業により、クライスト・カテドラルは、典礼が行われる場所、神の言葉を拝聴する場所、個人的な祈りと献身の場所として生まれ変わります」「私たちの間で神が宿る神聖な場所になるのです」と、バン司教は述べた。
一方、クライスト・カテドラル(旧クリスタル・カテドラル)の所有者であったプロテスタント教会「クリスタル・カテドラル・ミニストリーズ」(現「シェパーズ・グローブ」)は13年、新しい教会堂に移転すると発表し、一部の教会員らは複雑な心境に陥った。
クリスタル・カテドラル・ミニストリーズの総裁兼最高責任者(CEO)のジョン・チャールズ氏は当時、クリスチャンポストに次のように語った。「新しい教会は、『シェパーズ・グローブ』という名称で知られるようになるでしょう」「お察しいただいている通り、会衆はこの美しい施設を去るに当たり、幾分かの悲しみを持っています。しかし同時に、教会とは建物のことではなくキリスト者の共同体であると自覚しています。私どもは、この世に希望と癒やしのメッセージをもたらすことに邁進(まいしん)する所存です」
クリスタル・カテドラル・ミニストリーズは10年10月に破産を申請し、12年2月に、同教会を象徴したクリスタル・カテドラルの建物と敷地を、オレンジ教区に売却した。クリスタル・カテドラル・ミニストリーズはシュラー牧師とアーベラ夫人が1955年に設立し(設立時は、ガーデン・グローブ・コミュニティー教会)、カリフォルニア州で最大のキリスト教団体の1つに成長した。
シュラー牧師は、500ドル(約5万円)を借り受けて同教会を設立し、メガチャーチへと成長させた。クリスタル・カテドラルは、建築家のフィリップ・ジョンソン氏が設計した本会堂を含め、1980年に完成。建設には、1800万ドル(約18億2千万円)を要した。
■ クライスト・カテドラルの概要