青山学院大学(東京都渋谷区)は、同大への入学を希望する首都圏(東京都[島しょ部を除く]、神奈川県、埼玉県、千葉県)以外の道府県出身者で学業成績が優秀であるにもかかわらず、経済的理由で進学が困難な学生に対して経済的支援を行うことを目的とした予約型の給付奨学金「地の塩、世の光奨学金」の申請受付を11月に開始する。
青山学院のスクール・モットーの名を冠した「地の塩、世の光奨学金」は、全国の優秀な学生に同大で学んでほしいという強い思いと、同大に入学を希望しつつも経済的な理由で断念せざるを得ない地方の学生を支援したいという思いから、2015年に創設した。今回で3回目の募集となるが、この間に申請者数が増えるなどの効果が表れているという。
学生生活部 学費・奨学金課課長の富田直さんは、「学びたいという意欲のある人が、経済的理由で断念することのないようにするため、当事者である大学は、さまざまな仕組みを考えていかなくてはなりません」と話す。富田さんによると、同奨学金の大きな特徴は、経済的サポートを入学前に確保し、安心して学生生活を送れることと、「給付」となっているため、返済義務のないところだ。
また、年額で50万円、原則4年間で200万円継続支給(ただし毎年進級時に継続審査有)されることは、親元を離れて1人暮らしをする地方出身者の学生にとって、家計の負担軽減にもつながる。
さらに、今年度の申請資格から、高校での全体の評定平均値が3・5以上としていた規定を取り除いた。これにより、多くの学生にチャンスが広がることになる。同奨学金の採用候補者は、一般入学試験または大学入試センター試験利用入学試験に合格し、同大に入学後、所定の手続きを行うことで正式に採用されることになるのだが、申請資格の門戸を広げる新しい措置だ。
現在、入学前予約型給付奨学金を創設する大学が増えてきているが、大学によって給付金額、支給期間、採用候補者数はそれぞれだ。これは、各大学の規模や、受験者数、学生数、財政基盤によるところが大きいが、同大ではまず、奨学金を望む優秀な学生をなるべく多く採用したいというのが基本にある。
採用予定者は350人を予定しており、この中から入学試験に合格し、なおかつ同大に入学して採用されるのは、2015年度は20パーセントとなった。
富田さんは、「142年前、青山学院は女子小学校をはじめ、3つの学校を源流として創設され、女子教育が確立されていない時代に男女平等に教育の機会を与えていました。さらに本学は設立当初から今日まで変わらず、「地の塩、世の光」というキリスト教信仰に基いた教育を行っており、その1つの表れが、同奨学金に結び付いているのではないかと思っています」と語った。
また、「これまでの本学にある奨学金は、在学生に対するものだけでしたが、この奨学金は、経済的サポートを入学前に確保し、ぜひ、本学を選んでもらいたいという趣旨の奨学金です」と話す。同時に、少子高齢化が進む中で、この奨学金制度もこれから大学がより優秀な学生を確保していくための1つの工夫・仕組みでもあることを明かした。
富田さんは、青山学院のスクール・モットーである「地の塩・世の光」について「『地の塩』とは、隠し味として目立たぬ行いで人のため、社会のために意味を与え、汚れを清めていくこと。『世の光』とは、灯台の灯りのように闇を照らす希望の光として、励ましと力を周囲に発していくことです」とその意味を説明した。
その上で、「本学では、『地の塩・世の光』が意味する人間を育てて社会に輩出したい、こういった人が社会で活躍できるような研究、学習環境を提供して、良い学生生活を送ってほしいと思っています。奨学金にとどまらず、本学には学びをサポートする制度や仕組みがあるので、ぜひ本学を選んでほしい」と受験生に向けて語った。
今年の夏に開かれたオープンキャンパスでは、同奨学金についても参加者から多くの関心が寄せられた。また、2017年度一般入学試験(全学部日程)では、学外の試験会場として「仙台」「名古屋」「岡山」「福岡」の4会場が設けられ、地方に目を向けた同大の取り組みは、地方の学生にとって大きなチャンスとなっている。
「地の塩、世の光奨学金」の申し込み方法などの詳細は、青山学院大学のホームページで確認することができる。