英デイリー・メール紙によると、試合後に競技場内で祈ったために解雇された、米ブレマートン高校(ワシントン州)のアメリカンフットボール部の元副監督、ジョー・ケネディ氏が、自身の宗教的な権利を侵害されたとして、復職などを求めて、ブレマートン学区を相手取り訴訟を起こした。
この訴えは9日、同州タコマの地方裁判所にファースト・リバティー協会によって申し立てられた。同協会は、信教の自由に関する訴訟を専門とするテキサス州に拠点を置く非営利の法律事務所。同協会は、同学区に対し、ケネディ氏の監督職への復職と、試合終了後の祈りを許可するよう求めている。
ケネディ氏は同学区が昨年11月に自身を解雇した際、「精神的に打ちのめされた」と語っていた。「学区が私の仕事を返し、私が最も愛している監督の仕事に復帰できることを本当に望みます」
解雇前、ケネディ氏は試合の前後に祈りをする習慣があり、2008年ごろから、生徒たちも時折、同氏の祈りに加わっていた。
ブレマートン学区は、ケネディ氏の行為により同学区が宗教活動を推薦していると見られたくなかったため、ケネディ氏に祈ることをやめるように警告していた。しかし、ケネディ氏はひざまずいてボールを置き、無言で祈ることを続け、世間の注目を集めたため、彼を解雇せざるを得なかったと、同学区は主張している。
一方、ケネディ氏側は訴えで、「他者を改宗させたり、あるいは自身の宗教的信条に引き付ける動機で、個人的な宗教的表現に従事したわけではありません」と主張。「そうではなく、ケネディ氏は、ブレマートン高校で監督の仕事を始める前に結んだ神との契約の一部として、短い感謝の祈りをささげたのです」と述べ、ケネディ氏を擁護している。また、ケネディ氏の祈りの内容は、選手たち、彼らの過酷な練習、またスポーツマンシップについてだったと主張している。
ファースト・リバティー協会は、同学区が公務員の宗教的権利に関する裁判所の判例を誤って解釈したと主張。また、試合後にケネディ氏と同じく競技場内で念仏を唱えた別の監督に対して、同学区が処分を下していないことを問いただした。
同協会は、「ケネディ氏によるどんな明らかな宗教表現に関しても全面禁止というブレマートン高校の措置は、このような表現のためにケネディ氏を解雇することを決める際、米国憲法修正第1条で保証された信教の自由を侵害するものです」と訴えている。