世界教会協議会(WCC)は5日、「祈りと希望が印す原爆投下の日」と題する英文記事を公式サイトに掲載した。一方、バチカン放送局は6日、バチカン正義と平和評議会首席補佐官であるマイケル・チェアニー神父(イエズス会)が同日に発表した同評議会のメッセージの全文を公式サイトに掲載した。
WCC国際問題に関する教会委員会局長のピーター・プローブ氏は、この原爆の日について、「平和のための祈りをもって、私たちは今週、71年前の日本にある2つの都市の全滅に自らの思いをはせる。広島と長崎の原爆投下は、神の律法と人類の法を未曾有の規模で破った。地球規模の恐怖と疑いの時代が続いて起こり、そして今日も続いている」とコメントした。
1996年、国際司法裁判所は、全ての国家は誠意をもって核軍備撤廃を追求し、それを達成する義務を負うとする判決を出した。同裁判所は、核兵器は地球上の命全体を脅かし、未来の世代の利益に重大な被害を与えると述べた。
WCCは昨年、原爆投下の犠牲者たちに名誉を与え、平和のために祈り、核兵器を持つ国々に軍備撤廃を追求するよう強く要求するために、これら2つの都市に代表団を送った。
プローブ氏はこう続けた。「今や結束した多数派の国々が国連の特別作業グループで核兵器の禁止を交渉することを検討している。私たちはその行動方針を提唱している加盟教会や、市民社会の協力者たち、そして同市の政府に感謝する」
「71年前に日本で起きたことは決して2度と起きてはならない」とプローブ氏は付け加えた。「核兵器を持つ9つの国家は自らの義務を果たして自国の核軍備を除去しなければならない。広島と長崎が負わされた災いが要求するものは、それ未満のものではない」
日本は2011年3月、津波が福島の原子力発電所を不能にし、炉心溶融と核物質の放出を引き起こした後、核事故が起きた場所でもある。核のない世界に向けたWCCの取り組みは、核兵器と原子力を包含している。
一方、核軍備の増殖が今なお進む世界の中で、「神のいつくしみの大河」が今も流れているというのが、この71周年のためのバチカン正義と平和評議会のメッセージである。
「2016年8月6日広島にて」と書かれたバチカンの同評議会会長であるピーター・タークソン枢機卿を代弁して、チェルニー神父はこの71周年をいつくしみ特別聖年やキリストの変貌と結びつけた。
同神父は、ヒロシマ・ナガサキの原爆投下という2つの出来事が、私たちに「罪深く悲しみに満ちた私たちの生活の瞬間に立ち戻る機会」を与えてくれるが、それは押しつぶされて絶望するためではなく、神の愛を表す恵みが、赦(ゆる)しと癒やしをもって入ることができるようにするためだ」と述べた。
なぜなら「三位一体の中心から」「神の神秘が持つ深淵から、いつくしみの大河は湧き出て止まることなくあふれ出る。(カトリック)教会は何よりもまして、いつくしみをイエス・キリストの啓示の核心として、それに対する信頼できる証人となり、それを公言し、それを生きるよう招かれている(教皇フランシスコ『イエス・キリスト 父のいつくしみのみ顔』)。とりわけ今日、私たちは、神が私たちの全ての罪や罪のなすり合い、そして失望をご自身の『いつくしみの大河』でみなぎらせてくださるよう祈ります」と同神父は続けた。
※なお、このメッセージの全文を掲載したバチカン放送局英語版は、「そのメッセージはチェアニー神父が「8月6日、東京の国際連合大学で世界宗教者平和会議の主催による、軍備撤廃と安全保障に関する2日間の会議で演説した」(The message was delivered by Fr. Michael Czerny, SJ - a member of the Council - on August 6 at a two-day conference on disarmament and security sponsored by Religions for Peace at the United Nations University in Tokyo.)と報じたが、この会議の現場を直接取材した本紙記者によると、そのような事実はない。一方、カトリック広島司教区によれば、8月6日には広島の平和記念公園で宗教者平和の祈りが行われたという。
また、米国福音同盟(NAE)と米国ラテン福音同盟、米国カトリック司教協議会、憂慮する科学者同盟は、オバマ大統領の広島訪問を前に、今年の5月、「今こそ核による破滅の脅威を減らせ」と題する声明文を発表している。