薬物依存症リハビリテーションセンターDARC(ダルク)の「武蔵野ダルク女性ハウス」代表を務める渡邊智子氏(以下:智子氏)は24時間、入寮者と寝食を共にし、一人一人と向き合いながら活動に取り組んでいる。リハビリ施設というと、病院や施設をイメージするが、外観はどこにでもあるごく普通の一軒家だ。
DARCとは、英語のD(ドラッグ)A(アディクション)R(リハビリテーション)C(センター)の頭文字を取って名付けられた。ドラッグは一般に薬物を指すが、アディクションは嗜癖(しへき)、依存症のことをいう。
アディクションは、度を過ぎるとタバコ、アルコール、人によっては食べ物、ギャンブル、お金も人を狂わせてしまう可能性がある。中には人間関係に依存する「共依存」もこの1つだという。
「ストレス社会に生きる私たちは誰もが依存症になりえるのです。ちょっとのきっかけで入り込んだ世界に自己コントロールが利かなくなる、それに支配されどうにもならなくなる。これが依存症なのです」(ダルク広報誌から引用)
ダルクが目指すゴールは薬をやめることではない。あくまでそれはスタートに過ぎないという。大切なことは、人生の問題がなくなることではなく、人生の問題に正面から向かうことができるようになること。これが、ダルクの目指すゴールだ。
女性ハウスとは
武蔵野ダルク女性ハウスの入寮者は、全員が薬物、育成歴でのさまざまな問題からくる精神疾患を抱える「依存症者」だ。女性専用のハウスで定員を6人までとし、小規模で運営している。
ここは病院や施設という形とは全く異なる家族のような生活空間が広がっていた。基本的に自分で自炊をし、規則正しい生活を行う。「共に泣き、共にわかちあう」プログラムは「12ステップ」と呼ばれ、米国のボストン教会発祥の聖書的理念に基づく。日本国内の教会でも、信徒教育に採用しているところがある。
依存症の家族は、家庭が崩壊してしまうことがあるほど、その負担は計りしれない。丁寧なカウンセリングを行い、家族との信頼関係の上で引き受けるが、家族が加害者的な立場だったり、身元がなかったりする人もおり、苦労することが多い。
薬物などの誘惑から抜け切ることができない入寮者は、外部との接触について、決められたルールに沿って厳重に管理されている。その理由は、暴力団や女性を売り物にしようとする組織、DVなどの加害者に捕まりかねないからだ。このため、「武蔵野ダルク女性ハウス」という名称があっても、所在地は公開することは一切できない。
智子氏は「ある施設の話です。薬物依存症者に携帯電話を持たせたことで外部との接点が生まれ、薬の密売人が職員に紛れ込んで施設をダメにしてしまった例がありました」と話す。命に関わることなので、この点には非常に神経をとがらせている。
ダルクは行政、社会福祉協議会、地域との連携も行っており、警視庁や司法機関との信頼関係も強い。これは、彼らの活動が信頼されている証拠だ。智子氏は中学校の薬物乱用防止教室で講習を行い、ロータリークラブでのスピーチやメディアに出演しながら啓発活動を続ける。
メディアの報道についても考えてほしい点があるという。社会では、薬を使った人は「悪」であると表面的に捉える傾向が根強い。もちろん、麻薬など法に触れるものは犯罪であるので「事件」として視聴者の目に留まる。
しかし、大前提として「薬物を売る人間、使わせる人間や環境」に問題があるのであり、それが重大な犯罪行為、社会問題であることを広く理解していく必要があると智子氏は強調する。
「依存症と聞くと、どんなイメージを持ちますか? 人生に失敗をした、弱い人。不良、そんな偏見を持ちませんか?」と質問を受けた。智子氏は「私も依存症からの回復者。今は専門家として20年以上ダルクの活動を続けています。原因の多くはその背後にある家族問題、親との関係に影響している」と続ける。彼女はこの点に理解を深めてほしいと訴えた。
家族に隠された「闇」、問題行動は当事者のSOS
世間体の良い親、評判の良い家族でも、実は家の中の「闇」を隠していることが多い。これは大きな特徴だという。夫の渡邊肇氏は、警視庁と連携して情報交換を行っていることを明かした上で、このような家族が非常に多い現状を公表してくれた。
この「闇」とは虐待であることが多い。2つのパターンがある。1つは「極端な放任主義の親」、無関心、育児放棄(ネグレクト)も含まれる。もう1つは裕福で幸せそうな家族だが、実は親からの言葉の暴力、性的虐待を受けることだ。
専門用語で機能不全家族。子どもは居場所がなく不幸を訴えることすらできない。子どもたちは「この家族はおかしい!この親は変です!」というメッセージを発信するために、あえて問題行動を起こすことが多い。
ニュースで子どもが暴れ、困り果てている親を見てかわいそうと同情するが、プロの目から見ると、その家庭内の信号をSOSとして発しているにすぎない。智子氏は「虐待を受けた人には同じような特徴がある」と話す。「虐待を受けた時点でその人はその年齢で心の成長が止まる。精神年齢が幼いままなのです」
この状態を「心はティーンエイジャー」と表現する。実際の年齢と心が追い付かないことで、本人も葛藤をしていく。
さまざまなタイプの入寮者がいる
女性ハウスは精神疾患を持つ人も受け入れる。主に双極性障害、境界性人格障害の対応は非常に神経を使う。双極性障害は、以前は躁鬱(そううつ)病と言われ、数週間ごとに気分が高揚したり、落ち込んだりする病気だ。
欧米人に多い病気で、日本では約100人に1人の発症率。気分が高揚すると攻撃的になり、時に対応に危険が伴う。
境界性人格障害はいわゆるボーダーといわれ、病気と普通の状態の中間のような感じで普段は大変魅力的な性格だ。ところが自分のボロが出たり、不意を突かれると、人が変わったかのように暴れたり、性格が豹変(ひょうへん)する。自己愛が強いのも特徴で近年増えている。
女性ハウスでは、規則正しい生活のルールを定める中で、どうしても「いいよ、大丈夫だよ」と認められないこともある。「個人情報」「人権」に関する法制度が年々強くなる中、智子氏の愛ある厳しさに、入寮者から時に「虐待だ」「暴力だ」「パワハラだ」と責められ、本当に苦労し、難しい局面もあると打ち明けてくれた。
「わたしは罪人を招くために来たのです」―聖書から人々が生かされる
日本では年々、薬物使用者の若年化が問題となっている。小学校の保健体育の授業で「薬物使用防止」を学ぶほどだ。学生がいつでも薬物を購入できる危険がまん延している。
「全人格人権を擁護し、依存症者の人格の威厳、尊厳の回復を図る」。これは、武蔵野ダルクが掲げる事業目的である。
聖書の中で、イエスが取税人や罪人らと食事を共にするシーンがある。律法学者や祭司たちは「なぜ罪人らと食事をするのか」とイエスをあざ笑った。笑ったのは社会的な地位のある人間、今でいう牧師に当たる聖職者たちだ。
「医者を必要とするのは丈夫な者ではなく、病人です。わたしは正しい人を招くためではなく、罪人を招くために来たのです」(マルコの福音書2:17)
智子氏は、この聖句を何度も引用して、どの人にも隔てなく食事を共にしたイエスの姿を心の励みにしている。「ちょっといいですか!ぜひ聞いてください」。智子氏はこの言葉を何度も使いながら女性ハウスへの理解を求めた。「彼女たちは社会に居場所がなく、生きることも死ぬこともできずに苦しんでいる」
日本が抱える薬物問題の現状
日本の薬物使用経験者は、厚生労働省研究班による統計で約276万人。実際はもっと多いだろう。更生施設や回復へ向けたノウハウは、日本にはまだ少なく、発展途上という。
近年は覚せい剤などの聞き慣れた「麻薬」だけではなく、ハーブ(危険ドラッグ)という曖昧な商品名でどこでも手に入ってしまう状態が「仕組み」として出来上がっている。売る人間は暴力団だけでなく、社会人や大学生が副業として犯罪に加担している事実に胸が痛む。
麻薬の種類とその作用を聞く
薬の危険性や種類を単刀直入に解説してもらった。薬にはアッパー系、ダウナー系の2種類がある。それぞれ作用が違う。
アッパー系はいわゆる「覚せい剤」。気分が高揚し「活動的」になる。快感で何事もできるようなるので「なんて楽なのだ」と思っていく。昔はヒロポンという覚せい剤が合法的に販売された時代もあり、気分を爽快にすることが目的だ。
仕事ができて周りから「すごいね」と褒められる。即効性がありすぐに効く。効果が強いので癖になっていく。密売人は1回で売りつけない。小出しにして効果が切れたらまた接触して売る、こうして取引を深めることで依存していく。
負のスパイラルだ。1度使ってそれでやめられた人はいないといわれる恐ろしい薬なのだ。
ダウナー系はマリファナやシンナーなどだ。気分を鎮静化させてリラックスしたい、ふわふわした感覚に陥る。これもまたストレスなどからの解放感があり、癖になる。お酒も過剰摂取すると、これと同じ作用を引き起こす。これがアルコール中毒だ。
いずれの薬も犯罪(犯罪に該当しないものも中にはあるが)であり、使用、所持、販売、仲介、全て重たい刑事罰の対象となる。アッパー系は髪の毛が総立ちするような興奮と快感に襲われる。
智子氏は学生に広がる身近な依存症の1つを紹介する。「市販薬の咳止めシロップを何本も飲むのです」。衝撃的な言葉だ。
痛み止めには医療薬としての規定量の麻薬に準ずる成分が微量に含まれている。これを何本も飲むことで過剰摂取となり、結果『アッパー系』の作用を体感していく。
勉強ができる、眠くない、そして安心感で癖になる。悲しいことに受験対策で学生に浸透していると智子氏は明かした。塾通い、受験のプレッシャーが生み出した産物かもしれない。
アルバイト先で「最近、疲れ気味で・・・」と相談したところ「いい薬があるよ」と紹介され服用する。実は多くがマリファナや麻薬である。「薬はバイト先でもらえるような恐ろしい時代になっています」。薬について正しく知ることも大事なのだ。
智子氏はこの世から麻薬はなくならないという。人は満たされたい、刺激がほしい、と誰もが感じるときがある。ストレス社会はますます深刻化していくのだろうか。
ハーブという言葉に隠された恐怖
取り締まりが追い付かず、違法指定されていないものが横行しているので、どこか使っても大丈夫だろうと思ってしまいがちだ。しかし、使用すれば致命的な結果を招くと智子氏は警告する。
「ハーブといえばリラックス効果をイメージできるので安易に購入します。アロマとかハーブってはやりですから」。一般に販売されているものは問題がない。ここで言うハーブとは、脱法ハーブ、危険ドラッグといわれるものを指す。
数年前までは店舗で堂々と「ハーブ」と称して販売されていたが、警察の取り締まりが強化され、店頭販売は減少している。この摘発から逃れるために登場したのが、インターネット通販による顏を見ない取引だ。
「宅急便で簡単に買えます。絶対に手を出してはいけません」。智子氏は命を落とした女性たち、行き場を失い人生が狂っていく人の姿をたくさん見て来ただけに、その言葉には説得力がある。
ハーブって大丈夫なの? いいえ、大丈夫ではありません
いわゆる脱法ハーブ、合法ドラッグという部類のハーブは、覚せい作用の強い植物を何種類も混合して作られている。全て異なる作用があるため、使用後にパニック状態を起こしたり、自殺する人もいる。死傷者を出すような大きな事件を引き起こすなど、致命的な行為に走ることが1番の特徴だ。
「気分が良くなるリラックス効果など全くありません。即効性があるので本当に怖い」。1度の使用で取り返しのつかない結果を招くのが横行するハーブの恐ろしさだ。何か効果が弱いとか、違法性がない曖昧なイメージもあるが、智子氏によれば「覚せい剤よりもっと怖い」という。
さまざまな依存症―智子氏の目指すもの
依存症者は、麻薬だけでなくシンナーや風邪薬の過剰摂取でも起こる問題だ。某風邪薬を飲み続けることで安心し、癖になる。中には食べ物(過食)、水を飲み続けるなど、人によって抱える依存はさまざまだ。もちろん、アルコール中毒も含まれる。実際の入寮者の中にもこのようなケースが多々ある。
さらにDV被害から逃げてくる人の対応にも当たる。異性へ極端に依存しているので、暴力を振るわれても加害者から精神的に自立できない。病院の過剰な処方による副作用で苦しむ人や、市販薬が癖になってやめられない人までさまざまだ。
いろいろな特徴があるが、入寮してくる依存症者は「まず、判断能力がほとんどありません。後先考えずに理性を失い行動することが多い」という。回復の12ステップのプログラムをもって規則正しい生活をしながら「人格の回復」を目指していく。
智子氏は「私が回復したように、ここにいる人も社会へ戻れる夢を持ってほしい。その手助けをしたい」と熱く語る。ダルクの基本理念は聖書の「隣人愛」。だからこそ、24時間体制で鳴り続ける電話に対応し、時には警察に身元を引き取りにいく。
全ては「自分が受けた愛を相手にも伝えたいからです」。24時間同じ屋根の下で生活をしながら、楽ではないし限界を感じることもある。それでも、彼女は決して諦めることをしない。
日本ダルク創設について
ダルクの始まりは1985年7月に東京都荒川区にある一軒家からスタートした。米国カトリック教会のロイ・アッセンハイマー神父は、自身が過去にアルコール依存症から回復した経験を生かし、布教活動で来日する。
北海道へ来たロイ神父は、精神病院へ聖書のメッセージを届ける活動に取り掛かった。ニューヨーク州メリノールカトリック宣教会の献金を資金に、日本ダルク創設へ向け準備をしていった。
ロイ神父は、当時の日本の刑務所内で、薬の依存症者が命を落としていくしかない厳しい現状を嘆き、そこへ光を当てたいと祈っていく。
日本でダルクを創設した近藤恒夫代表も覚せい剤の依存症患者で、ロイ神父との不思議な出会いによって回復を経験した1人だ。ロイ神父は聖書の話や神という言葉をストレートに使うことなく「よかったら、私と一緒に回復のプログラムをやってみませんか」と語り掛けてくれたという。
この「よかったら」という温かな言葉が、どれだけ多くの人を救ったか分からない。智子氏は、強制的に押し付けられていれば、今日のようにダルクは広がっていなかったと振り返る。
「助けてあげよう」「治させる」という上から目線ではなく、共に同じ目線でのロイ氏の原点は、今もダルクで大切に引き継がれている。
ロイ神父の友人であるジャン司教の証し
「私はアメリカでロイと共に学生時代に神学校で学んだ友人です。彼はいつもトップクラスの成績で音楽的センスもあり讃美歌を教えることも好きな人でした。どうして彼が後にアルコールや薬の依存症になったのかは私にはわかりません。でも、大事なのはその後のことだと思います。彼は治療を受けて完全に回復をしました。本当に復活のような人生を歩み始めたのです。これはロイの物語のスタートなのだと思います。日本人の依存症者のために彼は覚悟を決めます。彼が心から信じていたのは『依存症になったことは神様からもらった恵み』ということです。どんな時も神様がありのままの姿を愛してくださることを以前より知ることができたのですから」(ジャン司教のレポート引用)
母の姿から学んだ博愛の精神
智子氏の夫で同じ武蔵野ダルク(男性のハウス)代表を務める渡邊肇(わたなべ・ただし)氏も、同じく依存症からの回復者だ。彼の母親は熱心なクリスチャンで、孤児院の身寄りのない子どもたちを引き取り、自宅でわが子のように温かく育てた。「マザー・テレサのような慈愛」をダルクに入寮していた智子氏は日々見ながら育った。「彼女はクリスチャンでした」
「葬儀の時に普通の主婦とは思えないほどの人が参列しました」。智子氏はこの肇氏の母の愛に触れ、再び生きることができた人が大勢いたと話す。
自分もかつては非行少女でした
「自分もかつては薬物依存症でした」。智子氏は自身の過去を振り返った。「私は非行少女でした。家に居場所がなかったのです。いわゆる世間体の良い親のもとで育ちました。不良グループは、私にとってまるで家族のような存在でした。疑似家族だったのかもしれません」
どうしようもない状態から回復し、OLとして社会で働くことができた。今は女性ハウスの代表を務める。「同じ痛みが分かる者」として、問題があっても寄り添えるのだと話す。
「それから、神の国を宣べ伝え、病気を直すために、彼らを遣わされた」(ルカの福音書9:2)
自身が回復を経験し、次へバトンを渡していく。「これは命のリレーなのです。ぜひこの事実を知ってほしい」
後日のインタビューでも、夫の肇氏は「彼らは人に信じてもらったことがない。そんな彼らが、信じてもらえる場所に巡り合うと変わる」。人間が回復していく姿を何度も見てきた。
ダルクに関わるストーリー全体がまるで福音書を彷彿(ほうふつ)させるような展開に、今日も生きて歩まれる主イエス・キリストの愛を確かに感じた。
非難するのではなく、理解をしていく寛容さ
「赦(ゆる)す」という文化が、日本社会には浸透していない。捕まえる、裁くという法整備は諸外国に比べて整っているが、このような問題を単に犯罪者として処理し、完結していくことは、真の解決にはならない。
弱い人と決めつけることは誰にもできない。どの人もストレス社会に生きる中、これらの問題と紙一重なのだ。
智子氏は「リハビリは痛みを伴います」。ダルクでは、本人の意向に沿わないこともしていくので、嫌われ役になり、葛藤がある。寛容であること、赦すことの大切さを学ぶことができたという。
智子氏のクリスチャンとしての思い
武蔵野ダルクの代表を務める渡邊肇氏(男性ハウス)と女性ハウス代表の智子氏は共にクリスチャン。智子氏は、懐かしそうに自分の過去を振り返りながら「私のベースはキリスト教です。幼稚園は日本基督教団の四谷新生幼稚園(東京都新宿区四谷)出身。小さい時からクリスマスの劇は決まってマリア様役。だから、教会に抵抗はない」と笑顔で語ってくれた。夫である肇氏もプロテスタントのクリスチャンで両親も信仰者だ。
「ここの人たちって、社会の厄介者ですよ。でも、そんな人間がどんどん良くなり、私のようにOLとして働ける! 15歳から薬を使った非行少女は、18歳でダルクに入寮した。これが私です」と告白する。
支援のお願い
「女性ハウスは始まったばかりです。ダルクは国内で女性を受け入れる所は数カ所のみしかありません。どこもスタート時はお金がありません。営利団体でもなく、国からの補助金も全く受けていません。全て私たちの働きを支えてくださる方々からの支援金で運営しています。入寮費も家賃と最低限の光熱費、あとは入寮者自身の生活費と、非常に安く設定しています」
「具体的にお話しをすると、需要に運営費が追い付いていません。助けを求める人は毎日来ます。そして命に関わる急務でありながら、1人で全て対応しています。本当は足を運んで皆さんに支援をお願いしなければなりませんが、ハウスを空けることができないのです。来年の家賃もありません。でも、ここを閉じることはできない。ぜひ、この記事を通じてダルクを知っていただき、経済的な支援をお願いします」。智子氏は深々と頭を下げて言葉を続けた。
このように深刻な社会問題であり、身近な危険でもある薬物、いつ自分が同じ立場になるか分からない依存症という世界、闇に葬られている荒(すさ)んだ家族関係、人は今も傷付きさまよっている。
武蔵野ダルクの取り組みが1人でも多くの命を救い、新しい希望と夢を持って再スタートできることを期待すると共に、社会の正しい知識と理解が広がることを願ってやまない。
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女性専用のハウス(シェルター)
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