名古屋市西区則武新町(のりたけしんまち)の住宅で28日午前、住人の長谷川槌子(つちこ)さん(84)が焼け跡から見つかった火災で、警察は遺体や現場の状況から、長谷川さんが何者かに殺害され、その後住宅が放火された可能性があるとみて、殺人・放火事件として捜査を始めた。朝日新聞などが伝えた。
同紙によると、則武新町3町目にある長谷川さんの住宅で28日午前8時半ごろ、火災が発生した。鉄筋2階建ての住宅のうち1階の居間兼台所が全焼し、焼け跡からは仰向けになって倒れていた長谷川さんが見つかった。TBSによると、長谷川さんは救出されたが病院で死亡が確認され、顔や足などが焼けていたという。
一方、司法解剖の結果、長谷川さんは首を圧迫されて窒息死した可能性が高いことが判明。また、居間兼台所に近い勝手口には、鍵がかかっていなかったことも判明した。毎日新聞によると、長谷川さんには目立った外傷はなく、放火される直前に殺害された可能性が高いという。また、時事通信によると、室内には荒らされたような形跡はなかった。
長谷川さんは、駐車場管理会社の代表取締役で、この住宅には1人で住んでいた。今月初めには窃盗被害に遭っており、警察に届け出ていたという。毎日新聞によると、火災が発生した前日の27日には、親族と電話で連絡していた。
通報した女性は朝日新聞の取材に応じ、「炎は見えなかったので、ぼやだと思った。これくらいの火事なら助かると思ったのに。トラブルに巻き込まれるような人ではなかった」と話している。
現場は、JR名古屋駅から北に約1キロの住宅街。警察は、窃盗事件との関連も含め、聞き込みや防犯ガメラの映像を分析するなどして、捜査を進めている。