7月10日投開票予定の参議院議員選挙を前に「明日を決めるのは私たち―政治を変えよう6・5全国総がかり大行動」が5日、国会議事堂前を中心に3カ所で行われた。昨夏以来、最大規模とされるこの集会に集まったのは、市民、学生、労連関係者ら約4万人(主催者発表)。警察による交通規制がかかる中、「選挙に行こうよ!」「戦争法は今すぐ廃止!」など、思い思いのプラカードや幟を掲げ、声を上げた。主催する市民連合の佐藤学氏(学習院大学教授)によると、全国で同時刻に行われた同時行動は、100カ所以上に及んだ。
国会正面には、「戦争法廃止を求める宗教者の会」の姿もあった。中には「平和を実現するキリスト者ネット」(キリスト者平和ネット)や「日本カトリック正義と平和協議会」など、キリスト教団体の幟も多く見られた。
午前中の礼拝を終え、急いで国会前に駆けつけたというクリスチャンの声も多く聞かれた。キリスト者平和ネットのメンバーで、日本基督教団百人町教会の信徒、坂敬夫(ばん・たかお)さんは、集会の印象を「ここに来るだけが活動の全てではないが、もう少し人が来ると良かったと思う」と話した。
坂さんは、今年82歳。小学5年生の時に終戦を迎えた。東京生まれの東京育ちだが、幸い、戦争で家を焼かれることはなかった。しかし、戦後の苦しみは、今でも忘れないという。
「朝、母が雑炊を1日分作ってくれて、昼になると学校から1度帰宅して、お湯を足し、ちょっと薄まった雑炊を口にかき込んだ。育ち盛りの私には、それを食べても、午後、再び学校に着く頃にはお腹がすいてしまってたまらなかった。そして、夜、さらに薄まった雑炊を食べて、1日の食事は終わり。本当に悲惨だった」と当時を振り返った。
腰痛のため、杖をつきながらのデモ参加だったが、それでも参加しなければいけない理由が坂さんにはあったのだ。「こんな思いをするのは、われわれの世代だけでたくさん! 二度と、二度と・・・戦争はしてはならない! 次の世代に、こんな危うげな世の中を受け渡すわけにはいかない!」「次の参院選で、与党が3分の2を取るようなことがあれば、安倍首相は改憲に踏み込むでしょう。絶対に許してはいけない!」と力強い声で話した。
「安保関連法に反対するママの会」からも、子育て中の母親がスピーチをした。「戦争で犠牲になるのは子どもたち。母親は、命懸けで子を産み、育てている。また、私たち一人一人も両親の手によって、命懸けで育てられた。その命を戦争で奪われることは、私たち母親にとって我慢ならないこと。だから、私はここに立っている」
「軍事大国アメリカは、テロの標的となり、今も休むことなく戦争を続けている。その戦争によって、テロはなくなったか。このような国に追随することで、日本は平和を守れるのか。私は納得できない。7月の参院選では、戦争する国になるのか、平和な国になるのかが問われる大きな選挙となる。平和を願う国民の意思を選挙で示しましょう」と話した。
佐藤学氏は、「参院選には必ず勝利して、改憲阻止を!」と訴え、集会を結んだ。