キリスト教学校教育同盟は、6月に開催される定時総会を前に、理事長諮問による「教育同盟の新しい連携」に関するプロジェクト委員会と、「道徳の教科化」に関するプロジェクト委員会のこれまでの経緯と問題点について、教育同盟の機関誌「キリスト教学校教育」5月号で報告した。
「教育同盟の新しい連携」に関するプロジェクト委員会では、五つの働きについて報告した。一つ目は、「校是(ミッションステートメント)推進を図る事務局・事務長連絡会議」で、今年1月8、9日に西南学院大学(福岡市)で「すべての事務職員に建学の精神、スクールモットー、使命(ミッション)を理解させ、帰属意識の高い職員集団を形成するには」とのテーマで第1回の会議を開催し、31校35人の事務局長、事務長らが参加した。
次回は、「第2回全国事務局長・事務長会議」と会議名を簡略化し、「すべての職員が自校の使命を深く理解して、帰属意識を高めるためには―変わらない理念、変わる私たち」とのテーマで、7月に東京で開催する予定。
二つ目は、「教育者を支援する地域システム」で、「教育のメンタルヘルス」に注目し、関西地区カウセリング研究会のこれまでの取り組みを基とし、「教育者ネットワーク」を提示している。今後はまず、関西地区において相談窓口を開設し、リーフレットを作成して各校に配布・周知するという。
三つ目は、「キリスト教大学による教員免許更新講座」についてで、すでに「キリスト教大学による教員免許更新講習の構築」プロジェクト委員会が、「教員免許更新講座」の開設を計画している。計画では、免許の更新にかかる負担をできるだけ軽くしようと「eラーニング」による講習を予定し、講習会場に出掛けることなく、2年間の受講期間中に自分のペースに合わせて講習を修められるようにした。
四つ目は、「キリスト教看護教育推進連絡会議」の設立で、教育同盟に加盟する15の看護教育機関がそれぞれの問題を協力して解決していくことを目的に企画された。昨年11月に第1回会議を同志社女子大学で開催した。第2回推進会議は、11月に聖路加国際大学で行われる予定だ。
五つ目は、「災害相互支援連絡会議」構築の検討で、この連絡会議では、自然災害発生時に、教育同盟の地区を超えた人的・物的な支援活動をスムーズに行えるシステムの構築を目指す。昨年12月に東北学院大学(仙台市)で準備会議が持たれた。東日本大震災を経験した同大の取り組みや、学生ボランティアの実践報告を聞いた。8月には、「第1回全国災害支援連絡会議」を立教大学(東京都豊島区)で開催する。
文部科学省は19年度から、道徳の教科化の全面実施を目指しており、キリスト教学校ではその対応が課題となっている。これまでは「宗教をもって道徳に代えることができる」ことが維持されてきたが、動向次第では代替ができなくなる恐れもあるという。
「道徳の教科化」に関するプロジェクト委員会では、教科「聖書」における「道徳」の具体的展開例を示すなどして、キリスト教学校全体のプログラムで「道徳教育」以上のことをやっている実践例などを示していきたいという。明治学院学院長の小暮修也氏は、国家主義的教育の高まりを懸念した上で、「『いつか来た道』に戻らないために、私たちは『預言者的役割』が求められている」と述べた。