パキスタンのラホールで、線路を敷設するために4カ所の教会を撤去する計画に対して、キリスト教徒が3日、ラホール高等裁判所前で抗議行動を行い、礼拝するための場所を破壊することは許されないと主張した。「私たちは聖なる場所の1インチすら渡さない」「私たちに権利を」などのスローガンを唱えた。
ラホールにあるカテドラル教会、ナウラカー教会、聖アンドレ教会、ボハル・ワラ教会の4カ所が撤去される予定だ。
英国司法扶助・支援と定住センター(CLAAS-UK)の代表ナシール・サイード氏は、「パキスタンのキリスト教徒には、一つの問題が解決した後すぐに別の問題が降りかかり、休まる時がありません」と述べた。
イースターの日曜日だった3月27日、ラホールの公園で自爆テロが発生し、72人が死亡した。この事件は、2014年12月に、ペシャワールの軍事学校で134人もの犠牲者を出した虐殺事件以来の大惨事だった。
「イースターのテロ事件後、キリスト教徒はまだ悲しみの中におり、トラウマを乗り越えようとしています。そして、キリスト教徒が最も苦しんでいるここラホールでは、四つの歴史的な教会の破壊という危機にひんしています」とサイード氏。
「これらの教会は、パキスタン建国前に建築されており、政治家やイスラム教徒がうらやむ非常に地価が高い一等地に位置しています。彼らはキリスト教徒がそのような高価な財産を持っていることに我慢ならず、この土地を奪い、キリスト教徒を萎縮させるためにあらゆる言い訳を使おうとしています」
サイード氏は、パキスタンのキリスト教徒の多くが政府の失態と見なす、宗教的少数派への保護の足りなさを非難した。「政府は、キリスト教徒の宗教的感情をもてあそぶべきではなく、パキスタンで少数派のキリスト教徒を、さらに不当に苦しめる圧力を排除すべきです」
米国際宗教自由委員会(USCIRF)は、2日に発表した報告書の中で、パキスタン政府が昨年「組織的で今も継続する、言語道断な信教の自由の侵害を犯し続け、また許し続けている」と指摘した。
USCIRFは、パキスタンが2002年以降米国から「特に懸念が強い国」と見なされていることを支持し、新しい報告書ではパキスタンの失態を断じている。「数年にわたって、パキスタン政府は市民、少数派、多数派を分派的組織や宗教に基づく暴力から守ることに失敗している。パキスタン当局はまた、加害者に正義を下したり、社会で暴力を煽動する人物に対して行動を起こすことにも失敗している」