パキスタンのキリスト教徒の家庭は、27日のラホールの公園での自爆テロ事件で亡くなった子どもや他の家族を埋葬している。この事件では72人が死亡し、そのほとんどは女性と子どもだった。
キリスト教の牧師は犠牲者の親と共に、中央政府がキリスト教徒をイスラム急進派から守るための施策を十分とっておらず、急進派によるテロのために罪のない命が失われ続けていると非難した。
ガーディアン紙によると、チルドレンズ・チャペルのシャキル・アンジュム牧師は、「政府は人々を安全な状況にできないことを自身で証明したので、軍が治安の責任を取るべきです。彼らは教会の治安を強めましたが、テロリストは今や私たちを殺すために公共の場所に来ています」と述べた。
事件は公園で行われていたイースターを祝うファミリーフェアの中で発生し、タリバンの分派ジャマートゥル・アフラルが犯行声明を出した。
ジャマートゥル・アフラルはキリスト教徒を標的としたと述べ、ナワズ・シャリフ首相にさらなる事件を予告している。
ロイター通信によると、ジャマートゥル・アフラルの報道官アフサヌッラー・アフサンは、「ナワズ・シャリフ(首相)に、この戦争が彼の家の戸口まで来たことを知らせよ。この戦争の勝者は、義なるムジャヒディン(聖戦士)だ。それが神の意志だ」と述べた。
28日、シャリフ首相は、パキスタン軍がテロリストを拘束し、犠牲者のために正義を行うことを誓った。
「私は、この殉教者の血の1滴1滴を数え続けるという誓いを新たにするためにここに来ました。その総額が決まれば、私たちはその全てが返済されるまで休むことはありません」とシャリフ首相。
軍の指導者もまた、パンジャブ州においてテロリストとその協力者を見つけることを目的とし、テロ組織に対する弾圧に向けて準備していると述べた。
殺害されたワカルさん(9)の父親のペルベス・マシーさんなど、自爆テロで子どもを失った親の中には、少数派であるキリスト教徒を保護する能力が政府にあるか疑問を持つ人もいる。
子どもの埋葬のあと、マシーさんはガーディアン紙の取材に対し、「教会では私たちは安全ですが、このような公衆の場では政府は何もしてくれていません」と語った。マシーさんは、28日にヨウハナバード墓地に子どもを埋葬した多数の親の一人だ。
生存者の1人、運転手のナディーム・グルさん(35)は爆弾の金属片により負傷したが、2人の息子は無傷で逃げることができた。グルさんは、国内でキリスト教徒が繰り返し祝日に狙われていると語った。
「私たちは、恐怖と共に生きることを学ばなければなりません」とグルさん。「宗教のお祭りがあるたびに、私たちクリスチャンは漠然とした脅威を感じます。私たちは聖なる日を喜べません」
AP通信は、人口1億8千万人のパキスタンではイスラム教が優勢で、キリスト教徒はたった250万人しかいないこと、またキリスト教徒がしばしば最も弱い立場に立たされることを指摘した。
ラホールのリアズ・アリフ牧師は、「自分の家にいるときに狂信者に襲撃されるとき、・・・自分の国に住むことは非常に恐ろしいことです」と述べた。
AP通信は、ここ数年間にパキスタンで起きたキリスト教徒への襲撃事件の長いリストを掲載した。中には、2013年にペシャワールでキリスト教徒85人を殺害した同時自爆テロ事件、2009年にパンジャブ州東部のゴルジャで発生し、キリスト教徒6人が殺害され少なくとも60件の住宅に放火された暴動、2011年にイスラマバードで殺害されたシャバズ・バッティ氏など著名なキリスト教徒の政治家の暗殺などが含まれている。