仕事と人生
元ネスレ(株)マーケティング部 本田英一
「主を恐れることは知識の初めである」(箴言1章7節)
人生とは、その人に与えられた時間をどのように過ごすかだといわれています。
私は、自分と家族の生活を確保するために過ごすのを仕事と称し、それから、自分が自由に生きられる時間を人生と名付けました。要約すると、自分と家族の生活を守るために企業戦士と言われるくらい一生懸命に働きました。
幸いにも、長年多国籍企業で働き、当時日本では珍しいマーケティングという考え方と実際の方法を学ぶことができ、それとともに欧米の外国人と一緒に働いておりましたので、キリスト教文化を基にした社会常識も学ぶことができました。
私が51歳の時。自分のためだけに生きる人生でよいのか、そんな人生で、この世に生まれてきた価値があるのか、頭をもたげたこんな疑問に神様は、日本人宣教師の宣教報告を通して私に出会ってくださいました。
その方は、私と余り年齢的に違わず、大学を卒業してから、すぐにアマゾン上流で現地人に福音を伝えていました。そんな若い時に、自分のために生きるのではなく、人のために生きる生き方にひどく感動したのです。
そして、若々しく、汚れなく生きていることが伝わってきて、私もできればそのような生き方をしたい、そのように生きるように導いてくださいと祈りました。それから間もなく、救いの恵みにあずかったのです。
定年(65歳)を迎え、これからは自由に、望むように生きられるという環境が与えられました。その時の気分は、広がる空のように、どこまでも高く、広く、何の制限も無い所で自由に生きることができるのだと、この開放感に感激いたしました。それでは、どのように生きれば良いのか、この時初めて、自分の人生を真剣に考えたのでした。
ここで初めて明確に、若いうちに仕事を含めた人生、結婚を含めた人生を考えなければいけなかったのだと思い当たりました。特に男性は、自分が一家の大黒柱だと自認し、経済的な事だけ考えればよいと思いがちです。
しかし、人生とは、夫婦2人で、地上の人生をどのように送るかが一番重要なのではないでしょうか。これまで生きた78年間を振り返ってみますと、ただただ、主に感謝あるのみです。神様の憐れみという他はありません。仕事を通しても、主は、人の生きる道を教え、導いてくださっていたからです。
私たち夫婦は、結婚したときはお互いに未信者でした。こんな2人が、神様の選びによって、救いの恵みにあずかりました。そして、今までの人生もいろいろなことがあり、これからもさまざまな迷いや誘惑もあることでしょう。
しかし、行き先を知らない人生ではありません。パウロが「私たちの国籍は天にあります」と言ったように、天国を目指して歩んで行き、それも、神と共に歩めるのです。これこそが、私たち夫婦の歩むべき人生と思わされています。
退職後すぐの65歳から神学校に行かせていただき、より良いクリスチャンになろうと思った目的をはるかに超え、牧師になる召命を頂き、たくさんの事を学ばせていただきました。
卒業後は、68歳という高齢にもかかわらず、理想的な―宣教師が開拓した―教会に遣わしてくださり、妻と二人三脚で、牧会生活を10年間続けさせていただきました。
神の家族の美しさと豊かさを経験させていただき、2015年3月31日、78歳で牧会生活を引退させていただきました。しかし、福音を伝えることに引退はありません。生涯用いられる者として、仕えさせていただきたいと願っています。
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【書籍紹介】
カレブの会編『この時 聖書を開いた―31人に訪れた神の祝福―』
私たちはみな、退職後のさまざまな不安を抱えています。夫婦や家族関係の在り方、体力の衰え、病、経済のこと、伴侶との離別、孤独等々。この世の人々が行く同じ道を歩みます。「夢」がコインの表だとすれば、弱さを味わう「軟着陸」はその裏面です。幸いなことに、この弱さは私たちを成熟へと導いてくれるだけでなく、しばしば夢と使命を与え、御国を広げる道へと導いてくれるのです。
現役で働いている方にとっては、示唆に富んだ言葉に、生き方の確かなヒントやアドバイスが与えられます。同世代の人にとりましては、生きる勇気や力が湧き上がり、その励ましを共有できる本です。
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目次
巻頭言 約束を信じた人々 「カレブの会」代表 小川 吾朗
私が教えられたこと①
一章 愛・希望・勇気を人間関係から学んで
営業経験を生かした人脈造り 市村昌三郎
古里伝道を目指して 遠藤 誠一
なくなる食物のためではなく 香川 和生
三つのチャレンジ 北原 祥光
聖句 隣人を愛しなさいは、私の人生の永遠のテーマです 佐藤 文紀
教育の原点は愛にあり 原田 浩司
仕事と人生 本田 英一
キリストに接木されて 山本 文夫
主ご自身が、私たちの心を慰め強めてくださる 横倉 順治
仕える者に 吉田 富次
私が教えられたこと②
二章 クリスチャンビジネスマンの使命を与えられて
三回のリストラからの奇跡的な解放 秋山 幹生
定年ではなく、墜落による退職とその後 伊藤 博康
一所懸命から一生懸命へ 志田 保夫
クリスチャンビジネスの原点 棚沢 英樹
神様が示される道を求めて 田宮 清
私は〝スルメ〟 根田 裕道
存在感のある人になる 八尋 隆幸
主の恵み・世と誠実にかかわる 山田 貫司
権威に従う 星野 隆三
私が教えられたこと③
三章 主と共に夢実現の道を歩んで
いつも相談に応じてくださる神さまに感謝! 伊藤 紘一
クリスチャンの「コレクティブハウス」を創ろう 江波戸啓悟
神様の深いご配慮に守られて 加々美 要
退職経験から学んだこと─主の救いと導きに感謝─ 神山 武
数々の試練を通して与えられた教訓 門谷 晥一
困難を極めた就職活動・悪戦苦闘の日々と神様の恩寵 来間 幸夫
御言葉が示すミッションとビジネスの成功法則 田口 誠弘
私たちの心は燃えていたではないか 谷 雅史
傘寿を迎えて 西山 久生
ビジネス経験が退職後の別世界に生かされる 畠山 義則
「主と同行二人」で歩む 藤田 達雄
主の恵みに生かされて。リタイアの前、直後、そして今 吉野 輝雄
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カレブの会
切り株から芽を出す「カレブの会」のロゴマークは、リタイア後も御言葉の約束を信じ、それぞれが置かれた場所で、豊かな実を結ぶ現代のカレブのような人々のスピリットを表現している。「主から夢を頂き、夢の実現のために互いに助け合う」こと、「人生のソフトランディング(軟着陸)を助け合う」ことを目的に2006年12月に活動を開始。そのビジョンは宇都宮、仙台、西宮へと、御霊の風に乗って運ばれ、今ゆっくりと広がり続けている。