「この希望は失望に終わることがありません。なぜなら、私たちに与えられた聖霊によって、神の愛が私たちの心に注がれているからです」(ローマ5:5)
先日、鹿児島で開かれた経済セミナーで、東京近郊で評判になっている町の電器屋さんを経営しておられる方のお話しを聞く機会がありました。テレビの全国ネットでも取り上げられている電器屋さんです。
大型の量販店6店舗に囲まれ、安売り合戦が続く中、とても太刀打ちできないので、店の縮小か廃業かというところまで追い込まれたそうです。しかし、そういう状況の中で知恵を絞り、徹底した地域密着型の店舗にし、安売りではなく、高売りを掲げて売り上げを伸ばしてきたというから驚きです。
どんな修理でもいつでも出動し、操作で分からないときは、何度でも説明したそうです。留守家庭の犬の散歩の手伝い、花に水をやり、一人暮らしのお年寄りの家はパンと飲み物を持って安否確認して、10年間かけて信頼を得ていったそうです。
週末には店舗で馬鈴薯(ばれいしょ)祭りをしてジャガイモを配り、サンマの時期にはサンマ食べ放題を企画したそうです。顧客が楽しいと感じる店舗づくりに徹したということでした。
また、日帰りバスツアーも企画しますが、有料で招待するそうです。有料のほうが顧客が参加しやすいし、店の負担にもならないということです。
私自身は行き詰まったときは、困難な外因を列挙し、自分の力のなさを考えて、諦めかけることがあります。「四方八方塞がれて道がないときは、天を仰ぎなさい。そこに解決がある」という言葉を聞いたことがあります。まだまだ知恵の出し方が足りないと思います。
私の知り合いの牧師は、いわゆる過疎地と呼ばれる地域にある教会に赴任し、地域密着型の伝道で教会を成長させました。教会で結婚式を行ったカップルに赤ちゃんが誕生すると幼児祝福式を行い、七五三の時期になると、宮詣でお祝いの会を提案し、家を建てると聞くと、地鎮祭や棟上げ式をキリスト教式で提案し、喜んで受け入れてもらえたそうです。
教会を集会で使用しないときは、地域の寄り合い所として活用してもらい、人々が足を運びやすい環境をつくっていったそうです。田植えや稲刈りの季節には飛び入りで手伝い、地域の行事にも積極的に参加したそうです。そうすると、葬儀を教会でしてもらいたいという地域民も出てきたそうです。
その牧師は、難しい理屈を言っても理解してもらえないから、最初は棟上げ式や幼児祝福式などで受け入れてもらい、10年以上かけて信頼を得てから初めて聖書の話を聞いてもらえたと言っていました。
事業が順調に行かなければ、なぜうまくいかないのか、自分を責め、周りを恨んでしまうことがあります。しかし、自分の企画した通りに物事が展開し、事業が発展したら、高慢になってしまい、神様から遠ざかってしまう危険性があります。物事もうまくいかないことを感謝し、喜ぶ姿勢が必要だと思います。
最初に紹介した電器屋さんの経営者ですが、「地域密着でトコトン尽くす! 究極のサービス」をモットーにして、米穀類販売許可証、調理師、旅行業などあらゆる資格を勉強して、来客者を楽しませることを考え続けたそうです。
もし物事がうまくいかず時間があるなら、与えられた準備の時ということで、十分に学び、備えることが必要だそうです。強力なライバルが出現したら、そのおかげで知恵が与えられ、体制を整えることができ、利益も上げられるし、生き残っていけると感謝しないといけないそうです。
「そればかりではなく、患難さえも喜んでいます。それは、患難が忍耐を生み出し、忍耐が練られた品性を生み出し、練られた品性が希望を生み出すと知っているからです」(ローマ5:3、4)
とても進展が難しいような状況でも、視点を変え、発想を転換することで、事業を成功された方は素晴らしいと思います。絶え間ない努力と地域愛があっての成功を学ばなければならないと思います。
◇