聖書のルカの福音書に、リストラに直面しているお金持ちの執事の話が出てきます。この執事のとった行動を主イエスが褒められたとあります。リストラや生活苦に苦しむ中高年が学ばなければならないヒントが隠されているように思います。
「ある金持ちにひとりの管理人がいた。この管理人が主人の財産を乱費している、という訴えが出された。主人は、彼を呼んで言った。『おまえについてこんなことを聞いたが、何ということをしてくれたのだ。もう管理を任せておくことはできないから、会計の報告を出しなさい。』管理人は心の中で言った。『主人にこの管理の仕事を取り上げられるが、さてどうしょう。土を掘るには力がないし、物ごいをするのは恥ずかしいし。ああ、わかった。こうしょう。こうしておけば、いつ管理の仕事をやめさせられても、人がその家に私を迎えてくれるだろう』」(ルカ16:1~4)
金持ちの執事は、金持ちから借り入れている債務者を呼び出し、債務の半分を免除する証券の書き換えを行います。これは明らかに不正行為ですが、このやり方を主イエスは褒められたのです。
不正を褒められたのではなく、自分の立場や権限を最大限に活用し、生き残りの策を講じていることに注目しておられます。
この聖書記事の表面だけ見ると、金持ちに損害を被らせているとんでもない執事です。しかし、これは最近マスコミに登場する弁護士による条件変更、借入金の利息の計算のやり直しと同じ手法なのです。
イエス時代の金持ちは、油、穀物などの貸し出しをし、多大な利息を取っていたと思われます。利息が高すぎたため、一般庶民はいくら働いても返済に追いつくことができなかったのではないかと思われます。
聖書に登場する執事と同じような境遇の中高年は少なくないし、残された人生をどのように生きていったらいいのか、明確なビジョンを描けないことも事実です。「土方をやるにはもう体力がない」あるいは「公的援助にすがるのも恥ずかしい」という気持ちは誰でも持っています。
しかし、中高年には経験という資産があります。今までの仕事のコネクションも生かせますし、独自のノウハウも持っています。メディアに露出して売り込むこともできます。必要な肩書は自分で作ることができます。
宗教評論家、出版コンサルタント、片づけアドバイザー、旅行ジャーナリストなどです。
ある女性はお化粧に自信を持っていました。「幸せを呼ぶメイク」と題して1回のレッスン料1万円というのをブログで売り出したところ、休む間がないほどの忙しさだといわれます。
ある方は鉄道が好きで学生の頃から機関車の写真を撮ったり、追っかけたりするのが好きで趣味にしていたのですが、「鉄道ジャーナリスト」をブログで名乗ったところ、テレビやラジオの出演依頼が来ているそうです。
ある方は葬儀コンサルタントを名乗っています。葬儀のとき大抵のご遺族は葬儀社の言い成りでどうしても高額になってしまいます。この方は親戚の人ということで喪主に同行し、適正なプランにしてもらうそうです。一回2万円の手数料をもらうそうですが、遺族からは数十万安くなったと感謝されるそうです。
確かに今は不安定な時代です。この先、何か起こるのか誰も予測できません。しかし、主はどんな時にも共にいてくださいます。
「恐れるな。わたしはあなたとともにいる。たじろぐな。わたしがあなたの神だから。わたしはあなたを強め、あなたを助け、わたしの義の右の手で、あなたを守る」(イザヤ41:10)
アメリカの知人がSNSに投稿していた言葉は、とても私の心に励ましになりました。
“If God close the mouth of the lions for Daniel, part the red seas for Moses make the sun stand still for Joshua open the prison for Peter, put a baby in the arms of Sarah, and raise Lazarus from the dead, Then He can certainly take care of you ! Nothing you are facing today is too hard for Him to handle.”
「もし神がダニエルのためにライオンの口を塞ぎ、モーセのために紅海を分け、ヨシュアのために太陽を沈ませず、ペテロのために獄の戸を開け、サラの腕に子どもを抱かせ、ラザロを死人の中から生き返らせたのなら、神はあなたのことを守ってくださいます。あなたが今日直面している問題で、神に不可能なことは何もないのです」
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