ヨベルの年(解放とき)の恵みは生きています
「もし、あなたのもとにいるあなたの兄弟が貧しくなり、あなたに身売りしても、彼を奴隷として仕えさせてはならない。あなたのもとで住み込みの雇い人としておらせ、ヨベルの年まであなたのもとで仕えるようにしなさい」(レビ記25:39、40)
旧約聖書のレビ記に「ヨベルの年」が定められています。「この第五十年目は、あなたがたのヨベルの年である」(レビ25:11)。ヨベルの年がやってくると、負債は解消され、失った所有地も戻り、奴隷の身分になっていたものも自由の身に解放されるというものです。人生のリセットが定められているのです。
「わたしはあなたがたの神、主である。わたしはあなたがたにカナンの地を与え、あなたがたの神となるためにあなたがたをエジプトの地から連れ出したのである」(レビ記25:38)
イスラエル旅行に行ったとき、ガイドさんに聞いた話ですが、イスラエルではレビ記のヨベルの年の教えが今日でも生きているそうです。国外のユダヤ人富豪たちが中心になり、ヨベル基金を作っているそうです。経済的危機に陥り、破産しそうなユダヤ人がいたら、この基金が救済するそうです。
世界各国から毎日のように帰還するユダヤ人たちが到着しています。ほとんどが財産を持ち出すことができず、スーツケース一個しか持っていません。しかし、国内での受け入れ手続きが終わり、市民権が与えられますと、すぐにクレジットカードが作れるし、車も買えるそうです。その財政保証はヨベル基金だそうです。
イスラエルのガイドさんの話によりますと、イスラエルに住んでいる人々は信じられないくらい楽観的だそうです。ヨベル基金の存在が人々の心を解放しているのかもしれないということでした。
私が幼いころ、私の両親は「借金は怖い」という話をよくしてくれていました。私の耳には借金が魔物か何かのように響いた記憶があります。
「借金は怖い」と思って警戒しているはずなのに、ローン、クレジットカード、奨学金などと表現を変えてくると、抵抗感がなくなってしまうところがあります。
新聞などのニュースを見ていますと、若者が奨学金返済で苦しんでいるということが書いてあります。大学に進学するときに4年間の学費として平均420万円借りるそうです。月々2万円の返済だから、足りないときはアルバイトをすれば何とかなるだろうという思いで気軽に申し込んでしまうそうです。自分の生活をしていくのが精一杯で、返済に応じられないことが出てくるのです。
米国では返済しなければならないローンは奨学金と呼んではいけない法律があるそうです。学費ローンという表現が使われるそうです。さまざまな種類の奨学金制度がありますが、ほとんどが返さなくてもいいそうです。
日本でも返さなくていい条件付きの奨学金があります。条件下での職種に決められた期間、従事するとか、決められた地域で勤務するということなどです。しかし、ほとんどの人は学費ローンを利用しています。
もしわが国にも返済不要の奨学金が充実し、ヨベル基金のようなものが存在したら、若者の生き方は変わってくるかもしれないと思います。
主なる神は私たちをエジプト(罪の支配するところ)から救い出し、カナンの地(キリストの家族の一員とされる祝福)に導いてくださいました。もし私たちの心の中に、不安感、罪悪感、失望感があるなら、神の意思に背くことになります。もう一度キリストの恵みを思い出し、ヨベルの解放を体験しなければならないと思います。
「ですから、あなたがたは、神の力強い御手の下にへりくだりなさい。神が、ちょうど良い時に、あなたがたを高くしてくださるためです。あなたがたの思い煩いを、いっさい神にゆだねなさい。神があなたがたのことを心配してくださるからです」(Ⅰペテロ5:6、7)
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