世界にある東方正教会のうちユリウス暦(旧暦)を用いる正教会で、4月31日夜から5日1日にかけて復活大祭が祝われた。
これに先立ち、東方正教会のコンスタンディヌーポリ全地総主教バルソロメオス1世は4月27日、同教会全地総主教庁の公式サイトに、2016年聖大パスハのための総主教メッセージを掲載した。
「この現代における『非合理的な世界』のただ中において、私たち正教徒のクリスチャンたちは、私たちの仲間である人間に、愛と犠牲の積極的な証しをもたらすよう招かれているのです」と同総主教は述べた。
同総主教は新約聖書を引用し、「私たち正教徒にとって、パスハはこの世界における悪の醜い現実から逃避するときではありません。それは死をもって死を滅ぼし、死からよみがえられたハリストスが、『恒ニ・・・世ノ終末マデ』(マトフェイ[マタイ]福音第28章20節、正教会訳)私たちと共におられるのです」と記した。
「愛する兄弟姉妹よ、正教の聖なる中心である、最も聖なる使徒的な全地総主教座から全ての人々に今年あらためてお伝えする復活のメッセージは次のようなものです」と同総主教は呼び掛けた。「すなわち、ハリストスが復活され、死の力が滅ぼされました。弱者に対する強者の権威は滅ぼされました。『生命が支配し』、そして復活されたハリストスの養う愛と、深い慈しみ、そして終わりなき恵みが、隅から隅まで、全世界を覆うのです」
「イイスス・ハリストスは真の光であり、彼の中に生命があり、そしてこの生命は人の光であるということに気付けば、私たちにとってはそれで十分なのです(イオアン[ヨハネ]福音第1章3、4節)。これが、この世界の全ての政治や宗教の指導者たちに対する私たちのメッセージなのです」と、同総主教は続けた。
「従って、ファナル(全地総主教庁があるトルコの首都イスタンブールの地区名)の消えることのない光からのその光に近づいて、それを受け取ってください。それはハリストスの光として、また愛の光として、全ての人々の上に輝いています。彼の中に『一モ暗ナキコトナリ』(イオアン第一公書[ヨハネ第一の手紙]第1章5節を参照)」と同総主教は述べ、「この喜びと光の福音を聞きましょう。そして私たち正教徒は、今日の世界の痛みを私たち自身の愛と犠牲で和らげましょう」と呼び掛けてメッセージを結んだ。
また、ロシア正教会のキリル1世・モスクワおよび全ロシア総主教も4月30日、「日本語版モスクワおよび全ルーシの総主教キリルからロシア正教会の主教品、司祭、修道者、諸ハリスティアニンへ宛てた復活祭に際しての挨拶(あいさつ)」(公式日本語訳はこちら)を同教会の公式サイトに掲載した。
キリル1世はその冒頭で「観よ、父は何等の愛を我等に賜ひて、我等に神の子と稱へられ、且為るを得しめしぞ」(イオアンの第一公書[ヨハネ第一の手紙]第3章1節)を引用した。
同総主教はこのあいさつの中で、「復活祭の偉大な喜びを実感しながら、謹(つつし)みとおののきをもって墓から立ち甦った命を施すハリストスを見て、救いに導くこの福音を隣人や他人と分かち合いましょう。そうしたら、私たちの周りにいる全ての人々が言葉で表現できない神の愛の輝きを確かめ、私たちと共に父と子と聖神の至尊至巌の名を讃美讃榮することになるでしょう」と述べた。
キリル1世は、「全ての理解を絶する救いをもたらすハリストスの復活の光が私たちの生活を照らし、導きや励ましを与え、天の国に與(おこ)り、これを継ぐ者と成すようお祈り申し上げます」とあいさつを結んだ。